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Updated 2011/10/26







書体の著作物性 

著作権法10条1項4号参照

 『著作権法211号は、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」を著作物と定めるところ、印刷用書体がここにいう著作物に該当するというためには、それが従来の印刷用書体に比して顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要であり、かつ、それ自体が美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えていなければならないと解するのが相当である。』
〜「タイプフェイス事件」平成120907日最高裁判所第一小法廷判決(平成10()332)〜

 『印刷用書体は、文字の有する情報伝達機能を発揮する必要があるために、必然的にその形態には一定の制約を受けるものであるところ、これが一般的に著作物として保護されるものとすると、著作権の成立に審査及び登録を要せず、著作権の対外的な表示も要求しない我が国の著作権制度の下においては、わずかな差異を有する無数の印刷用書体について著作権が成立することとなり、権利関係が複雑となり、混乱を招くことが予想される。』
〜「タイプフェイス事件」平成120907日最高裁判所第一小法廷判決(平成10()332)〜

 『デザイン書体は、一般に、専ら美の表現のみを目的とする純粋美術の作品とはいえず、また、通常美術鑑賞の対象とされるものでもない。すなわち、文字は、元来、情報伝達のための実用的記号(の一種)であるところ、デザイン書体は、かかる事実を前提に情報伝達という実用的機能をにない、かつ、当該機能を果すために使用される記号としての文字に、美的形象を付与すべくデザインしたものであつて、そのこと自体から、実用に供されることを目的とするものということができる。デザイン書体のうち、印刷用活字・写真植字用文字盤等大量生産を予定する実用品に直接応用されることを目的とてデザインされるタイプ・フエイスにおいては、実用品との関連性は極めて直接的であるが、一応これら実用品との直接的関連をはなれて、抽象的に記号としての文字にデザインを施す場合にも、その本質においてはなんらの差異も認められない。』
〜「‘ヤギ・ボールド’装飾文字事件」昭和540309日東京地方裁判所(昭和49()1959)

 『本件各文字にはデザインが施されているとはいえ、各文字、数字、その他の記号などは、本来的にそれらの組合わせによつて、情報伝達という実用的機能を期待されたものであり、それがため、そこに美の表現があるとしても、文字等についてすべての国民が共通に有する認識を前提として、特定の文字なり、数字なりとして理解されうる基本的形態を失つてはならないという本質的制約を受けるものである。この点からしても、本件各文字を美術鑑賞の対象として絵画や彫刻などと同視しうる美的創作物とみることはできない。』
〜「‘ヤギ・ボールド’装飾文字事件」昭和580426日東京高等裁判所(昭和54()590)〜

 『本件書体のような文字の書体であって、なお、著作権法の保護の対象になるものがあるとすれば、それは、当該文字が持っている本来の情報伝達機能を失わせる程のものであることまでは必要でないが、当該文字が本来の情報伝達機能を発揮するような形態で使用されたときの見やすさ、見た目の美しさだけでなく、それとは別に、当該書体それ自体が、これを見る平均的一般人の美的感興を呼び起こし、その審美感を満足させる程度の美的創作性を持ったものでなければならないと解するのが相当である。』
〜「写植機用文字盤搭載文字事件」平成10308日大阪地方裁判所(昭和58()4872)〜

 『いわゆるデザイン書体も文字の字体を基礎として、これにデザインを施したものであるところ、文字は万人共有の文化的財産ともいうべきものであり、また、本来的には情報伝達という実用的機能を有するものであるから、文字の字体を基礎として含むデザイン書体の表現形態に著作権としての保護を与えるべき創作性を認めることは、一般的には困難であると考えられる。仮に、デザイン書体に著作物性を認め得る場合があるとしても、それは、当該書体のデザイン的要素が「美術」の著作物と同視し得るような美的創作性を感得できる場合に限られることは当然である。』
〜「デザイン文字『Asahivs.AsaX』事件平成80125日東京高等裁判所(平成6()1470)〜

 『文字を素材とした造形表現物が、美術の著作物として認められるためには、当該表現物が、知的、文化的精神活動の所産として、これを見る平均的一般人の審美感を満足させる程度の美的創作性(後述の純粋美術としての性質)を持ったものであり、かつ、その表現物に著作権による保護を与えても、人間社会の情報伝達手段として自由な利用に供されるべき文字の本質を害しないものに限ると解するのが相当である。』
〜「商業書道デザイン書体事件」平成110921日大阪地方裁判所(平成10()11012)〜

 『本件で著作物性が問題となっている文字の書体についていえば、文字は万人共有の文化的財産であり、もともと情報伝達という実用的機能を有することをその本質とするものであるから、そのような文字そのものと分かち難く結びついている文字の書体も、その表現形態に著作物としての保護を与えるべき創作性を認めることは、一般的には困難であって、仮に、デザイン書体に著作物性を認め得る場合があるとしても、それは、当該書体のデザイン的要素が、見る者に特別な美的感興を呼び起こすに足りる程の美的創作性を備えているような、例外的場合に限られるというべきである。』
〜「『住友建機株式会社』社名ロゴ事件平成120928日東京地方裁判所(平成12()2415)〜











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