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著作権法条文解説

▶第56(継続的刊行物等の公表の時)の解説

56条は、次のように規定しています:

1 第52条第1項、第53条第1項及び第54条第1項の公表の時は、冊、号又は回を追つて公表する著作物については、毎冊、毎号又は毎回の公表の時によるものとし、一部分ずつを逐次公表して完成する著作物については、最終部分の公表の時によるものとする。
2 一部分ずつを逐次公表して完成する著作物については、継続すべき部分が直近の公表の時から3年を経過しても公表されないときは、すでに公表されたもののうちの最終の部分をもつて前項の最終部分とみなす。」

本条は、新聞や雑誌などの継続的刊行物、百科事典や連載小説のような逐次刊行物について、その保護期間の終期の起算点となる「公表時」の認定について解釈上の疑義が生じないようにするために設けられた解釈規定です。
「冊、号又は回を追って公表する著作物」(その全部の公表の終わる時期が通常予定されていない、新聞、雑誌、年報などのような著作物)については、その「毎冊、毎号又は毎回の公表時」をもって保護期間の終期が起算されます(1項)。
一方、「一部分ずつを逐次公表して完成する著作物」(一部分ずつが公表されて完成されるもので、通常その終期が予定されている、百科事典、文学全集、連載小説、連続テレビドラマなどのような著作物)については、その「最終部分の公表時」をもって保護期間の終期が起算されます(1項)。もっとも、「継続すべき部分が直近の公表時から3年を経過しても公表されないとき」は、すでに公表されたもののうちの最終部分の公表時をもって起算されることになります(2項)。

▶第57(保護期間の計算方法)の解説

57条は、次のように規定しています:

「第51条第2項、第521第項、第53条第1項又は第54条第1項の場合において、著作者の死後70年又は著作物の公表後70年若しくは創作後70年の期間の終期を計算するときは、著作者が死亡した日又は著作物が公表され若しくは創作された日のそれぞれ属する年の翌年から起算する。」

本条は、保護期間の終期の計算を簡明なものとするために、一定の基準点となる日の属する年の翌年の11日から起算することを定めたものです。すなわち、「死後70年」、「公表後70年」、「創作後70年」の期間の終期を計算するときは、それぞれ、著作者が死亡した日、著作物が公表された日、著作物が創作された日のそれぞれが属する年の翌年の11日から起算します(57条)。
例えば、平成20年(2008年)4月に死亡した著作者の実名で公表された著作物の保護期間の終期は、平成21年(2009年)の11日から起算して50年後の平成70年(2058年)の1231日です。※「死亡した年の月日にかかわらず、死亡年に70年を加算した年の1231日まで」と理解すればよいでしょう。