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著作権法条文解説

著作権法第83(出版権の存続期間):

1 出版権の存続期間は、設定行為で定めるところによる。
2 出版権は、その存続期間につき設定行為に定めがないときは、その設定後最初の出版行為等があつた日から3年を経過した日において消滅する。」

▶ 出版権の存続期間

本条は、わが国における出版業界の慣行を考慮しつつ、出版権の存続期間について規定したものです**

**改正前831項では、出版権の存続期間は、原則として設定行為で定めるところによるものとされ、また、設定行為に定めがないときは、同条2項により、出版権は最初の出版後3年を経過した日に消滅することとされていましたが、平成26年法改正においてもこうした考えは変わるものではないため、インターネット送信による電子出版についての出版権の場合についても同様の扱いとされています。

出版権の存続期間については、原則として出版権設定契約において当事者間で任意に定めることができます(1項)。そして、そのような任意の定めがないときは、出版業界の慣行も考慮し、出版権の設定後「最初の出版行為等があった日から3年を経過した日」において消滅するものとされています(2項)。
本条2項は、無期限の出版権を認めない趣旨であると解されます。したがって、当事者間で任意に出版権の存続期間を定める場合でも、無期限の存続期間を定めたり、複製権又は公衆送信権の存続期間と同じ期間といった極めて長期にわたる存続期間を定めることは無効であると解され、結局、任意の定めがないものとして本項(「最初の出版行為等があった日から3年を経過した日」)が適用されると解されます(反対説あり)。なお、「最初の出版行為等があった日」とは、出版物(著作物の複製物)の第一回(初版)の発売配布があった日(取次店に引き渡されて流通過程におかれた日)又は実際にネット配信(公衆送信行為(送信可能化を含む。791項かっこ書参照))があった日を意味すると解されます。