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著作権法条文解説
著作権法第90条(著作者の権利と著作隣接権との関係)
「この章の規定は、著作者の権利に影響を及ぼすものと解釈してはならない。」
(注)「この章」とは、「著作隣接権」について規定する著作権法「第四章」を意味します。
本条は、実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業者に認められる権利は、著作者に認められる権利とは別個独立のものであることを確認的に規定したものです。
本規定により、著作隣接権と著作権とはそれぞれ別個独立の権利として扱われ、ある著作物の実演等による伝達行為に著作隣接権が及ぶからといって、当該著作物にかかる著作権に影響を与えることはできません(著作権に基づく許諾権が制限されるものと解してはなりません)。例えば、ある歌手の歌唱をCDに吹き込む(複製する)場合には、レコード製作者は、その歌手(実演家)から録音の許諾を得ると同時に、作曲家・作詞家(ともに著作権者)から複製の許諾を得なければなりません。さらに、レコード製作者がそのようにして製作したCDから当該歌唱を録音(複製)しようとする者は、当該レコード製作者及び実演家の許諾のほか、作曲家・作詞家の許諾も得なければなりません。