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著作権判例セレクション
請負契約に基づく写真の使用料(二次使用料を含む)の認定(算定基準)(法114条3項関係)
▶平成17年03月31日大阪地方裁判所[平成15(ワ)12075]
法114条3項
本件請負契約に基づく写真の使用料は、原告会社又は原告P1と被告又はP12との関係を前提として、契約当事者である原告会社と被告間の契約の合理的意思解釈により認定されるべきである。しかるところ、別紙料金一覧表所定の使用料等は、写真の使用料の一応の基準を示すものとして、本件における使用料を決める上でも、判断の一要素となることは否定し得ない。しかし、同表は、写真家が写真の企画アイデア、撮影対象の手配(肖像権の使用許諾も含む。)、撮影に要する費用を負担して撮影した、いわば既に完成している写真を他の者に利用させる場合を前提とするものであるから、写真が完成するについて被告の寄与も認められる本件の使用料を決するに当たって、そのまま適用するのは相当でない。すなわち、(証拠)及び弁論の全趣旨によれば、本件で使用料が問題とされる写真について、企画を立て、前記の写真に撮影されたP3らを始め、撮影対象となった者をスタジオ等に集めるよう手配し、その肖像の使用について許諾を得たのは被告又はP12であり、スタジオ代等も、少なくとも相当程度を被告が負担したことが認められる。他方、原告P1本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、構図、撮影条件等を決め、実際の撮影を行ったのは原告P1であることが認められ、前記の写真を始め、本件で使用料が問題とされる写真は、原告P1の創作性が反映された同原告の著作物であると認められる。このように、本件において使用料が問題とされる写真は、原告P1の著作物ではあるが、その完成に至るまでに被告又はP12の寄与があったものであり、その写真の利用価値は、構図、撮影条件等によって創出される写真としての創作性とともに、撮影対象となった者の著名性や著名人が撮影されていることによる写真の希少性など、被告又はP12による写真の企画や撮影対象者の手配等に由来する事情が相まって生じ、高められているものと認められる。そうであるとすれば、本件請負契約に基づく写真の使用料は、別紙料金一覧表所定の使用料等も参考にしつつ、写真が完成するに至るまでの被告の寄与も考慮に入れて認定すべきである。
なお、本件において、二次使用とは、具体的には、撮影の際に当初予定されていた号の「編集会議」に掲載された写真を、更に別の号などに二次使用するものである。弁論の全趣旨によれば、この場合、被告は、写真の企画、撮影対象の手配、撮影料の支払等に経費をかけて撮影した写真の利用の対価を、当初予定されていた号の「編集会議」に掲載することによって得ているものと認められ、二次使用料をめぐる関係は、いわば既に完成している写真を他の者が二次使用する場合と余り変わらないものというべきである。したがって、二次使用に関しては、本件の二次使用料を、別紙料金一覧表所定の使用料等に基づいて算出することが相当とされる場合もあるというべきである。