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著作権判例セレクション
同一性保持権の侵害事例
▶平成24年09月27日 東京地方裁判所[平成22(ワ)36664]
イ(ア) 原告は,被告寿屋が,本件各イラストが本来それぞれ別個独立のイラストであるにもかかわらず,本件各イラストを大幅に縮小し,色を黒色から緑色に変更した上,変更した各イラストを複数ランダムに同一平面上に並べるなどして改変し,被告イラスト6を制作しており,被告寿屋のかかる行為は,原告の意に反して本件各イラストに改変を加えたものといえるから,本件各イラストについて原告が保有する同一性保持権の侵害行為に当たる旨主張する。
そこで検討するに,本件において,本件各イラストの原画(本件原画)は,証拠として提出されていないが,被告イラスト1-1,2-1,3,4-1及び5-1が,墨一色で描かれた本件原画を基に,着色をし,「手づくりの味」,「餃子」,「焼売」等の文字を新たに配置するなどして制作されたことからすると,本件各イラストは,五つの別個独立のイラストであって,目録の各イラストとほぼ同じ色で,ほぼ同じ構成・態様で描かれたものであることが推認される。
そして,本件各イラストと被告イラスト6を対比すると,被告イラスト6は,原告が主張するように,本件各イラストの図柄を縮小し,色を黒色から緑色に変更した上,変更した複数の各イラストを同一平面上に並べるなどして改変したものであるところ,原告本人の供述によれば,本件各イラストの上記改変が原告の意に反することは明らかである。
したがって,被告寿屋による上記改変行為は,原告が主張するように,本件各イラストについて原告が保有する同一性保持権の侵害行為に当たるものと認められる。
(イ) これに対し被告寿屋は,被告イラストにおける上記改変は,原告の意に反するとまではいえない旨主張するが,これと反対の趣旨の原告本人の供述に照らし,上記主張は,採用することができない。
(ウ) 以上によれば,原告の被告寿屋による同一性保持権侵害の主張は,理由がある。