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  著作権判例セレクション
   権利濫用又は権利失効の適用を認めなかった事例
  
  ▶令和5年12月7日東京地方裁判所[令和5(ワ)70139]▶令和7年9月24日知的財産高等裁判所[令和6(ネ)10007]
  4 権利濫用又は権利失効の原則の適用の有無(争点4)について
  
  前記3に説示したとおり、亡Bが生前に被控訴人商品の存在及びこれに被控訴人図柄が付されている事実を認識していたとは認められず、亡A及び控訴人らが令和4年(2022年)1月より前に上記事実を認識していたとも認められないのであり、これらの事情の下では、亡B、亡A及び控訴人らが、同年に至るまで、被控訴人に対して被控訴人商品に被控訴人図柄を付さないように求めなかったことをもって、権利者において権利行使をしないとの強い信頼をもたらす行動をとったとは認められず、本件訴訟の提起による控訴人らの被控訴人に対する権利行使が法的衡平や法的正義の観点から是認できないような特段の事情に当たるとは解されず、控訴人らの被控訴人に対する権利行使が権利濫用であるとか、権利失効の原則により認められないと解することはできない。
  
  そして、他に、控訴人らの被控訴人に対する権利行使について、これが権利濫用であるとか、権利失効の原則により認められないと解すべき根拠となる事情は認められない。
  したがって、争点4に関する被控訴人の主張は、採用することができない。