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  著作権判例セレクション
   著作物の独占的利用を許諾された者は差止請求権を有するか
  
  ▶令和5年12月7日東京地方裁判所[令和5(ワ)70139]▶令和7年9月24日知的財産高等裁判所[令和6(ネ)10007]
  7 差止め及び廃棄の必要性(争点7)について
  
  ⑴ 被控訴人による著作権侵害の行為の内容、著作権侵害行為が長期間にわたり継続した事実に加え、被控訴人が本件訴訟において著作権を侵害していないと主張していることも考慮すれば、被控訴人が、被控訴人商品(別紙1「被控訴人商品目録」各項の「商品名」の箇所に記載された名称を有し、同各項に掲載された写真の容器又は包装を用いた商品)を製造するおそれがあると認められ、これを差し止める必要性が認められる。
  
  また、被控訴人は、自社のウェブサイトを運営しており、宣伝のために被控訴人商品(別紙1「被控訴人商品目録」各項の「商品名」の箇所に記載された名称を有し、同各項に掲載された写真の容器又は包装を用いた商品)の画像を公衆送信する蓋然性が高いといえるから、これを差し止める必要性も認められる。
  
  ⑵ 被控訴人の行為によって侵害された著作権の支分権は、翻案権及び公衆送信権であり、譲渡権の侵害があったとは認められず(前記1⑹ア)、差止めに25 ついても、翻案権及び公衆送信権の侵害に当たる前記⑴の各行為の限度で必要性が認められ、譲渡、引渡し、譲渡若しくは引渡しのための展示の差止めの請求は、理由がない。
  
  また、前記6⑴イ(ア)のとおり、被控訴人は、令和4年(2022年)5月30日以降の納品分から、被控訴人商品の外装(容器のラベル又は外袋)を、被控訴人図柄を使用していないものに変更しており(ただし、「てっぽういか」5 のみ、同年6月27日の納品分から上記変更をした。)、現在被控訴人が製造、販売しているのは、その外装に被控訴人図柄を使用していないものであることが認められ、これらの事実によれば、被控訴人が、現在、外装に被控訴人図柄を付した被控訴人商品を保管しているとは認められないから、被控訴人に対し、被控訴人商品の廃棄を命ずる必要性は認められない。
  
  ⑶ 著作権を侵害するおそれがある者に対し、その侵害の予防を請求することができるのは、著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者である(著作権法112条1項)。本件では、亡Aからの相続に関し、遺産分割協議により、亡Bの著作物に関する著作権の持分を取得した控訴人X2、控訴人X3及び控訴人X4が、差止請求権を有する。上記遺産分割協議により著作権の持分を取得しなかった控訴人X1、及び著作物の独占的利用を許諾された控訴人会社は、差止請求権を有しない。
  
  したがって、上記⑴の差止請求は、控訴人X2、控訴人X3及び控訴人X4の請求に基づいて認められるものである。