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  著作権判例セレクション
  プロフィール画像
  
  ▶令和3年12月23日東京地方裁判所[令和2(ワ)19617]
  (注) 原告は,自宅で,登山用の衣服を着用し,登山用ロープを身に纏い,右手に一眼レフカメラを持ち,左手及び衣服で顔を隠した状態の自分の姿をカメラで撮影して画像を作成し,同画像に画像編集ソフトで背景を変更するなどの加工を施して,本件オリジナル画像を作成し,ツイッターで利用していたアカウントのプロフィール画像としてアップロードした。
  
  
  1 争点1(権利侵害が明らかであるか)について
  前記に照らせば,原告は,その個性を発揮して作成し創作性を有する本件オリジナル画像を作成した著作者として,本件オリジナル画像に係る著作権(公衆送信権)を有するものと認められる。
  しかるに,証拠によれば,本件画像は,本件オリジナル画像の原告の顔の部分(画像全体の面積の8分の1程度の部分)に1体のキャラクターのイラスト及び「ボク、わかんない。」という文字を合成したものにすぎず,それ以外の大部分が本件オリジナル画像と全く同一であり,本件オリジナル画像で特徴的に表現されている原告の姿勢,背景,構図等を明確に覚知することができる。そうすると,本件アップロードは,本件画像のみならず,本件オリジナル画像を公衆送信した行為とも評価することができるというべきである。
  したがって,原告の著作権法28条に基づく権利について検討するまでもなく,本件アップロードによって本件オリジナル画像の公衆送信権が侵害されたことは明らかであると認められる。
  これに対し,被告は,本件画像においては本件オリジナル画像の表現の本質的特徴が失われているなどの旨を主張するが,同主張を,本件画像は本件オリジナル画像と別個の著作物となるに至っている旨の主張と善解するとしても,本件画像は,上記のとおり,その大部分が本件オリジナル画像と全く同一である以上,両者を別個の著作物と評価することはできない。被告の上記主張は,採用できない。