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著作権判例セレクション

【著作物の定義】「新たなバス路線の設計方法」は著作物か

▶平成19327日知的財産高等裁判所[平成18()10058]
控訴人主張の交通システムに著作物性(創作性)が認められるか否かにつき
控訴人は,ポニー交通システムは,市街地循環復路線群(A),放射状循環復路線群(B)及び環状型復路線群(C)で構成された新たなバス路線の設計方法を表現した設計図であり,控訴人が製作した新事業の計画書であって,著作権法の保護を受け得る著作物である,と主張する。
著作権法にいう「著作物」とは,思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの(同法2条1項1号)をいう。したがって,同法が保護の対象とするのは,「創作的」な「表現」であって,その基礎にある思想,感情又はアイデアではない。
控訴人は,ポニー交通システムのうち,市街中心部を双方向(時計回り及び反時計回り)に循環する市街地循環復路線(A)は,過去に類例がなく,控訴人が新たに考案したものである旨主張する。しかし,そのような路線の設定方法自体は,思想ないしアイデアであって,著作権法が保護の対象とする著作物ではない。よって,市街中心部を双方向(時計回り及び反時計回り)に循環するという路線設定の方法自体は,それが創作的なものであるか否かを問わず,そもそも著作物に当たらないといわざるを得ない。
よって,控訴人の主張は採用することができない。