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著作権判例セレクション

1172項の適用事例

平成160929日東京地方裁判所[平成16()4605]

6 争点(6)について
ア 著作権(複製権)の侵害による損害額
() 原告の有する著作権の持分割合について
証拠及び弁論の全趣旨によれば,原告書籍は前訴目録2記載の書籍であって本件著作物と同一であり,本件著作物について原告の占める著作権の持分割合は100分の48.52であると認められることから,原告書籍について原告の有する著作権は,持分100分の48.52の共有であるということができる。
したがって,原告は,被告らに対し,この自己の持分に対する損害賠償を請求することができる(著作権法117条2項)。
これに対し,原告は,原告書籍について原告が単独で著作権を有していると主張するが,前記認定の事実に照らせば,理由がない。
() 損害額
原告は,被告組合及び被告共立が被告書籍1冊当たり2000円の利益を得ていると主張する。
しかし,前記認定の事実によれば,被告共立は,被告組合から被告書籍289冊の代金として57万8000円(1冊2000円×289冊)の支払を受けているものの,被告書籍の作成に当たり,どの程度の経費を要したかは,明らかとはいえず,結局,被告組合及び被告共立が原告の有する著作権侵害により得た利益の額を認定することはできない。原告の損害額は,被告書籍の作成目的,内容,頒布先,冊数等の諸事情を総合考慮して,被告書籍の作成,販売によって原告が被った損害額は,1冊当たり97円(被告書籍の代金2000円×0.1×0.4852)とするのが相当である。
したがって,被告組合及び被告共立による著作権(複製権)侵害により原告が受けた損害額は,2万8033円(97円×289冊)である。