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著作権判例セレクション
世界各地のSL映像を編集したDVDの販売につき、公表権侵害を認定した事例
▶平成22年04月21日東京地方裁判所[平成20(ワ)36380]
(ア) 公表権
被告らは,原告が本件映像の著作権を譲渡している以上,本件映像を公衆に提供・提示することも同意したものと推定される(著作権法18条2項1号)と主張するが,前提として,原告が本件映像の著作権を譲渡したと認められないことは,前記アのとおりである。
また,被告らは,原告が放送番組の制作を知りつつ異議を述べなかった以上,公表権について放棄又は同意があったことは明らかであると主張する。
しかしながら,前記(1)で認定したとおり,原告が認識していたのは,オスカ企画が本件映像を利用して放送番組を制作する企画を検討していることであって,当該企画自体が明確に確定していたわけではないことからすれば,いかなる内容の放送番組を,いつ公表するかまで原告が認識していたとは認められないのみならず,当該企画が実現するか否かについても,原告が認識していたとは認められない。
したがって,原告が,オスカ企画において当該企画を検討していることを知りながら異議を述べなかったとしても,本件映像を公表することにつき,原告の同意があったと認めることはできず,被告らの前記主張は,採用することができない。
よって,本件DVDの発売前に本件作品1及び2がテレビ放送されたことも,原告の同意を得ないで公表されたもの(著作権法18条1項)と認められることから,被告が本件DVDを販売したことは,原告の本件映像についての公表権を侵害すると認められる。