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著作権判例セレクション

ビデオ映像を編集して作成されたDVDにつき、当該ビデオ映像の氏名表示権侵害を認定した事例

平成220421日東京地方裁判所[平成20()36380]
() 氏名表示権について
被告らは,本件DVDの商品価値は,撮影されている映像の資料的価値ではなく,編集作業による側面が強いことを理由として,素材となった映像を撮影したにすぎない原告の氏名を表示しなくても,原告が著作者であることを主張する利益を害するおそれがないか,又は公正な慣行に反せず,氏名表示権の侵害には当たらない(著作権法19条3項)と主張する。
しかしながら,氏名表示権は,二次的著作物の公衆への提供等に際しての原著作物の著作者名の表示についても認められること(著作権法19条1項)からすれば,仮に,本件DVDの商品価値が補助参加人による編集作業による側面が強いとしても,そのことのみをもって,本件DVDの素材である本件映像を撮影した原告の氏名を表示しないことが,原告が著作者であることを主張する利益を害しないものとは認められず,また,それが公正な慣行に反しないものであるとも認められないから,被告らの前記主張は,採用することができない。
したがって,被告が本件DVDに撮影者として原告の氏名を表示せずにこれを販売したことは,原告の本件映像についての氏名表示権を侵害すると認められる。