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著作権判例セレクション
法47条の3の意義と解釈
▶平成12年12月26日大阪地方裁判所[平成10(ワ)10259]
上記2によれば、三菱電機は、基本契約に基づき、原告からハードウエアであるマイコンテストボックス及びこれに搭載されたソフトウエアを購入した者であるから、プログラムの著作物の複製物の所有者に該当し、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる(著作権法47条の2第1項[注:現47条の3第1項。以下同じ])。
しかし、著作権法47条の2第1項は、プログラムの複製物の所有者にある程度の自由を与えないとコンピュータが作動しなくなるおそれがあることから、自らプログラムを使用するに必要と認められる限度での複製や翻案を認めたものであって、同項にいう「自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要な限度」とは、バックアップ用複製、コンピュータを利用する過程において必然的に生ずる複製、記憶媒体の変換のための複製、自己の使用目的に合わせるための複製等に限られており、当該プログラムを素材として利用して、別個のプログラムを作成することまでは含まれないものと解される。
以上によれば、三菱電機は、メインテナンス等の本件プログラムを利用する過程において必要な限度において、本件プログラムを複製、翻案する権限を有しているに止まり、1個のICを測定する機能を有する本件プログラムを素材として利用して、2個のICを同時に測定する新しいプログラムを作成する権限(複製権)を有していたとは認められず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。