Kaneda Legal Service {top}

著作権判例セレクション

プログラムの著作物の特定性

?令和2324日東京地方裁判所[平成31()10821]?令和21125日知的財産高等裁判所[令和2()10027]

1 争点1(原告はプログラムの著作物である本件プログラムを作成したか)及び争点2(被告が本件プログラムを複製,【譲渡】したか)
(1) 控訴人は,】原告自身が平成26年春頃に職務の空き時間にプログラムの著作物である本件プログラムを作成したと主張し,また,被告が本件プログラムを複製して訴外日本ユニシスに売却したと主張するのに対し,被告は,原告が主張するプログラムを認識しておらず,原告が主張する本件プログラムの内容が不明確であることなどを主張する。
原告は,本件プログラムを創作するに至ったアイディアや本件プログラムの機能について主張するが,それらについてのプログラムの著作物としての具体的な表現(ソースコード等)の主張はなく,原告が職務の空き時間に作成したと主張する本件プログラムについて,具体的な表現としてのプログラムを認めるに足りる的確な証拠はない。そして,被告が本件プログラムを複製し,売却したことを認めるに足りる的確な証拠もない。
()
また,著作権法上の「プログラム」は,「電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したもの」をいい(同法2条1項10号の2),プログラムをプログラム著作物(同法10条1項9号)として保護するためには,プログラムの具体的記述に作成者の思想又は感情が創作的に表現され,その作成者の個性が表れていることが必要であると解されるところ,控訴人は,本件プログラムの具体的記述の内容を主張立証していないから,本件プログラムが著作権法上の「プログラム」に該当するものと認めることはできない。
したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない。】
【(3 以上によれば,】原告の請求のうち,本件プログラムについての著作権侵害を理由として損害賠償を求める点,本件プログラムの著作権を有することの確認を求める点は,いずれも理由がない。
[控訴審同旨]