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著作権判例セレクション
【美術著作物】ウーロン茶のペットボトル容器のパッケージデザイン
▶平成20年12月26日東京地方裁判所[平成19(ワ)11899]
本件デザインの著作物性の有無について
ア 著作権法2条1項1号は,著作物を,「思想又は感情を創作的に表現したものであって, 文芸, 学術, 美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と規定し,さらに,同条2項は,「この法律にいう『美術の著作物』には,美術工芸品を含むものとする。」と規定している。
これらの規定は,意匠法等の産業財産権制度との関係から,著作権法により著作物として保護されるのは,純粋な美術の領域に属するものや美術工芸品であって,実用に供され,あるいは,産業上利用されることが予定されている図案やひな型など,いわゆる応用美術の領域に属するものは,鑑賞の対象として絵画,彫刻等の純粋美術と同視し得る場合を除いて,これに含まれないことを示していると解される。
イ 証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件デザインは, 当初から, 原告商品[注:「サントリー黒烏龍茶OTPP」という名称の飲料商品のこと]のペットボトル容器のパッケージデザインとして,同商品のコンセプトを示し,特定保健用食品の許可を受けた商品としての機能感,おいしさ,原告のブランドの信頼感等を原告商品の一般需要者に伝えることを目的として,作成されたものであると認められる。
そして,完成した本件デザイン自体も,別紙原告商品目録の写真のとおり, 商品名, 発売元, 含有成分, 特定保健用食品であること, 機能等を文字で表現したものが中心で, 黒, 白及び金の三色が使われていたり 短冊の形状や大きさ, 唐草模様の縁取り, 文字の配置などに一定の工夫が認められるものの, それらを勘案しても, 社会通念上, 鑑賞の対象とされるものとまでは認められない。
したがって,本件デザインは,いわゆる応用美術の領域に属するものであって, かつ, 純粋美術と同視し得るとまでは認められないから, その点において,著作物性を認めることができない。