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著作権判例セレクション
【差止請求】電子掲示板の設置運営者への差止請求を認めた事例
▶平成16年03月11日東京地方裁判所[平成15(ワ)15526]▶平成17年03月03日東京高等裁判所[平成16(ネ)2067]
(注) 本件は,漫画家である原告C及び出版社である原告小学館は,書籍「ファンブック 罪に濡れたふたり~Kasumi~」(「本件書籍」)に収録された対談記事について,著作権を共有するところ,被告が運営するインターネット上の電子掲示板「2ちゃんねる」に,上記対談記事が無断で転載されて送信可能化され,自動公衆送信されたことにより,原告らの送信可能化権,公衆送信権が侵害されたと主張し,被告に対し,著作権法112条1項に基づき当該対談記事の送信可能化及び自動公衆送信の差止めを求めるとともに,原告小学館の削除要請にもかかわらず,被告が転載された当該対談記事の削除を怠ったことで原告らに損害が発生したと主張し,被告に対し,民法709条に基づき,損害賠償を請求した事案である。
1 争点(1)(本件各発言における本件各対談記事の転載は著作権法32条にいう引用に当たるか)について
被告は,本件各発言の書き込みをした者(以下「本件発言者」という。)が発言の書き込みに際して本件各対談記事を引用することは,著作権法上許された引用の範囲にあると主張する。
著作権法32条1項にいう「引用」とは,紹介,参照,論評その他の目的で自己の著作物中に他人の著作物の原則として一部を採録することをいうところ,上記引用に当たるというためには,引用を含む著作物の表現形式上,引用して利用する側の著作物と引用されて利用される側の著作物を明瞭に区別して認識することができ,かつ,両著作物の間に前者が主,後者が従の関係があると認められる場合でなければならないと解される。
(略)
上記認定の事実によれば,本件各発言を閲覧した者は,本件各文章を独立した著作物として鑑賞することができるのであり,本件発言者がその発言の書き込みにおいて本件各対談記事の内容を転記したのは,本件発言者らが創作活動をする上で本件各対談記事を引用して利用しなければならなかったからではなく,本件各対談記事を閲覧させること自体を目的とするものであったと解さざるを得ない。
したがって,本件各発言においては,その表現形式上,本件各対談記事の転載部分が従であるとはいえない(むしろ,本件各対談記事の転載部分が主であるということができる)から,本件発言者がその発言の書き込みに際して本件各対談記事の内容を転載した行為が,著作権法上許された引用に該当するということはできない。
以上のとおり,被告の主張は採用することができない(なお,被告は,スレッドを一体としてみれば,本件各対談記事の引用部分が従であるという趣旨の主張もしているが,本件のような電子掲示板に,発言者が自由に書き込みをしているような場合には,書き込みごとに独立した著作物と解すべきであるから,被告の上記主張も採用することができない。)。
2 争点(2)(原告らは,被告に対して,別紙転載文章目録記載の各発言の自動公衆送信又は送信可能化の差止めを請求することができるか)について
ア 原告らは,本件各発言が著作権侵害を構成するものである以上,本件電子掲示板を設置,運営し,削除について最終的な権限及び責任を有する被告に対して,本件各発言の自動公衆送信又は送信可能化の差止めを請求することができると主張する。しかし,以下に述べるとおり,原告らの上記主張を採用することはできない。
著作権法112条1項は,著作権者は,その著作権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することができる旨を規定する。同条は,著作権の行使を完全ならしめるために,権利の円満な支配状態が現に侵害され,あるいは侵害されようとする場合において,侵害者に対し侵害の停止又は予防に必要な一定の行為を請求し得ることを定めたものであって,いわゆる物権的な権利である著作権について,物権的請求権に相当する権利を定めたものであるが,同条に規定する差止請求の相手方は,現に侵害行為を行う主体となっているか,あるいは侵害行為を主体として行うおそれのある者に限られると解するのが相当である。けだし,民法上,所有権に基づく妨害排除請求権は,現に権利侵害を生じさせている事実をその支配内に収めている者を相手方として行使し得るものと解されているものであり,このことからすれば,著作権に基づく差止請求権についても,現に侵害行為を行う主体となっているか,あるいは侵害行為を主体として行うおそれのある者のみを相手方として,行使し得るものと解すべきだからである。この点,同様に物権的な権利と解されている特許権,商標権等についても,権利侵害を教唆,幇助し,あるいはその手段を提供する行為に対して一般的に差止請求権を行使し得るものと解することができないことから,特許法,商標法等は,権利侵害を幇助する行為のうち,一定の類型の行為を限定して権利侵害とみなす行為と定めて,差止請求権の対象としているものである(特許法101条,商標法37条等参照)。著作権について,このような規定を要するまでもなく,権利侵害を教唆,幇助し,あるいはその手段を提供する行為に対して,一般的に差止請求権を行使し得るものと解することは,不法行為を理由とする差止請求が一般的に許されていないことと矛盾するだけでなく,差止請求の相手方が無制限に広がっていくおそれもあり,ひいては,自由な表現活動を脅かす結果を招きかねないものであって,到底,採用できないものである。
イ これを本件についてみるに,前記の「前提となる事実関係」に記載の各事実に弁論の全趣旨を総合すると,被告は本件電子掲示板を設置,運営する者であるが,本件電子掲示板は300種類以上の個別のテーマの電子掲示板から構成され,各個別のテーマの電子掲示板の中に多数のスレッドが存在していること,本件電子掲示板は公衆の用に供されている電気通信回線(インターネット)を介して無料でだれでも利用することができ,発言をしようと思う者は自由にスレッドに書き込みを行うことができるものであること,書き込まれた発言は直ちに機械的に送信可能化され,被告は送信可能化前に書き込みの内容をチェックしたり,改変したりすることはできないこと,本件各発言も,利用者たる本件発言者が本件スレッドに書き込んだものが機械的に送信可能化され,自動公衆送信されたものであること等の事情が認められる。
上記の各事実に照らせば,本件各発言について送信可能化を行って本件各発言を自動公衆送信し得る状態にした主体は本件発言者であって,被告が侵害行為を行う主体に該当しないことは明らかである。
そうすると,原告らは,被告に対して本件各発言の送信可能化又は自動公衆送信の差止めを請求することはできないものというべきである。
ウ この点に関する原告らの主張は必ずしも明らかではないが,現に著作権等の侵害が行われている場合,あるいは行われるおそれの高い場合に,権利を侵害された者において侵害行為を行った主体に対する差止請求を行うことが容易ではない一方で,幇助者の行為が著作権等の侵害行為に密接な関わりを有し,かつ幇助者が被害の拡大を容易に防止することができる立場にあるような場合には,当該幇助行為を行う者は著作権等の侵害主体に準ずる者として,著作権法112条1項に基づく差止請求の相手方になり得ると主張するものと解されないではない。しかしながら,このような主張を採用することができないことは,上記アにおいて説示したとおりである。
原告らは,また,本件電子掲示板の利用者が発言の書き込みをする際に,氏名,メールアドレス等を記載する必要がなく匿名で行うことができること,著作権侵害の発言について削除要請があっても必ずしも削除されるとは限らず,書き込みをした本人であってもスレッドに掲載された発言の削除を行うことは許されていないことといった本件電子掲示板の特徴に照らすと,被告に対して差止請求を認めなければ著作権侵害に対する救済を欠くことになり,不当であるなどとも,主張する。
しかし,まず,著作権侵害に限らず,匿名で権利侵害を行っている者に対して差止請求を認めるべきかどうか,認めるとしてどのような方法で差止めを可能ならしめるかは,基本的には立法政策の問題であって,電子掲示板における表現において,匿名での権利侵害行為がなされたからといって,侵害の主体ということができない電子掲示板の設置者ないし自動公衆送信装置の設置者に対して,特段の法規上の根拠も要することなく,差止請求権を行使することができると解することは,到底できない。殊に,憲法上自由な表現活動が保障されている下においては,表現活動に対する抑制行為は厳に謙抑的であることが求められるものであり,このような点に照らしても,原告らの主張するところは,差止請求の相手方を解釈によって無制限に拡張することにつながるもので,到底採用することができない。
もっとも,発言者からの削除要請があるにもかかわらず,ことさら電子掲示板の設置者が,この要請を拒絶して書き込みを放置していたような場合には,電子掲示板の設置者自身が著作権侵害の主体と観念されて,電子掲示板の設置者に対して差止請求を行うことが許容される場合もあり得ようが,そのような事情の存在しない本件において,被告に対する差止請求を認める余地はない。
(略)
エ 以上のとおり,被告に対して,本件各発言の送信可能化及び自動公衆送信の差止めを求める原告らの請求はいずれも理由がない。
3 争点(3)(被告は,本件各対談記事の削除を行わなかったことにより,原告らに対して損害賠償責任を負うか)について
ア 前記2において認定説示のとおり,本件において,被告は著作権を侵害した者に該当しないのであるから,被告による著作権侵害を理由とする原告らの請求は理由がない。
イ 原告らは,仮に,被告自身が著作権を侵害した者に該当しないとしても,遅くとも平成14年5月10日に編集長Iからの削除要請が行われた後においては,被告は,本件各発言を削除すべき条理上の作為義務を負っていたにもかかわらず,過失によりこれを怠ったもので,損害賠償義務を負うと主張する。
しかしながら,インターネット上において他人の送信した情報を記録し,公衆の閲覧に供することを可能とする設備を用いて,電子掲示板を開設・運営する者や,ウェブホスティングを行う者(以下「電子掲示板開設者等」という。)は,基本的には,他人が送信した情報について媒介するという限度で情報の伝達に関与するにすぎない。
したがって,電子掲示板開設者等は,他人が行った電子掲示板への情報の書き込み,あるいはウェブページ上における表現行為が,著作権法上,複製権,送信可能化権,公衆送信権の侵害と評価される場合であっても,電子掲示板開設者等自身が当該情報の送信主体となっていると認められるような例外的な場合を除いて,特段の事情のない限り,送信可能化又は自動公衆送信の防止のために必要な措置を講ずべき作為義務を負うものではない。
(略)
したがって,本件の事実関係の下においては,そもそも,被告に本件各発言の送信可能化及び自動公衆送信を防止すべき作為義務があったと認めることはできないし,被告に過失があったと認めることもできない。
ウ 以上のとおり,原告らの損害賠償請求は,いずれも理由がない。
[控訴審]
(注) 控訴審では一転電子掲示板運営者に対する差止請求が認められた。
2 被控訴人による著作権侵害について
(1) 自己が提供し発言削除についての最終権限を有する掲示板の運営者は,これに書き込まれた発言が著作権侵害(公衆送信権の侵害)に当たるときには,そのような発言の提供の場を設けた者として,その侵害行為を放置している場合には,その侵害態様,著作権者からの申し入れの態様,さらには発言者の対応いかんによっては,その放置自体が著作権侵害行為と評価すべき場合もあるというべきである。以下,本件の事実関係に即してこれをみてみる。本件発言の前後の発言内容は,甲2及び弁論の全趣旨による認定である。
(略)
(4) インターネット上においてだれもが匿名で書き込みが可能な掲示板を開設し運営する者は,著作権侵害となるような書き込みをしないよう,適切な注意事項を適宜な方法で案内するなどの事前の対策を講じるだけでなく,著作権侵害となる書き込みがあった際には,これに対し適切な是正措置を速やかに取る態勢で臨むべき義務がある。掲示板運営者は,少なくとも,著作権者等から著作権侵害の事実の指摘を受けた場合には,可能ならば発言者に対してその点に関する照会をし,更には,著作権侵害であることが極めて明白なときには当該発言を直ちに削除するなど,速やかにこれに対処すべきものである。
本件においては,上記の著作権侵害は,本件各発言の記載自体から極めて容易に認識し得た態様のものであり,本件掲示板に本件対談記事がそのままデジタル情報として書き込まれ,この書き込みが継続していたのであるから,その情報は劣化を伴うことなくそのまま不特定多数の者のパソコン等に取り込まれたり,印刷されたりすることが可能な状況が生じていたものであって,明白で,かつ,深刻な態様の著作権侵害であるというべきである。被控訴人としては,編集長Aからの通知を受けた際には,直ちに本件著作権侵害行為に当たる発言が本件掲示板上で書き込まれていることを認識することができ,発言者に照会するまでもなく速やかにこれを削除すべきであったというべきである。にもかかわらず,被控訴人は,上記通知に対し,発言者に対する照会すらせず,何らの是正措置を取らなかったのであるから,故意又は過失により著作権侵害に加担していたものといわざるを得ない。
被控訴人は,一人で数百にものぼる多数の電子掲示板を運営管理し,日々,刻々とこれに膨大な量の書き込みが行われるため,すべての書き込みに目を通すことは到底不可能であるから,個々の著作権侵害の事実を把握することはできない,と法廷で繰り返し強調していたが,仮に被控訴人の主張することが事実であったとしても,著作権者等から著作権侵害の事実の通知があったのに対して何らの措置も取らなかったことを踏まえないままにこのように主張するのは,自らの事業の管理態勢の不備をいう意味での過失,場合によっては侵害状態を維持容認するという意味での故意を認めるに等しく,過失責任や故意責任を免れる事由には到底なり得ない主張であるといわざるを得ない。
以上のとおりであるから,被控訴人は,著作権法112条にいう「著作者,著作権者,出版権者・・・を侵害する者又は侵害するおそれがある者」に該当し,著作権者である控訴人らが被った損害を賠償する不法行為責任があるものというべきである。なお,著作権者が発言者に対して著作権侵害に係る発言の削除の要請をするのが容易であるならば,掲示板の運営者が著作権侵害をしていると目すべきでないこともあり得ようが,本件掲示板においては,発言者の実名,メールアドレスなどの発信者情報を得ることはできず,本件各発言の削除要請が容易であるとは到底いうことができない。
この点に関連し,被控訴人は,本件掲示板の発信者は,IPログから追跡可能であると主張する。被控訴人の主張は,IPアドレスの記録によって発信者が特定できるとの趣旨と理解できるが,IPアドレスによって特定されるのは当該発言がいずれのプロバイダーから発信されたかにとどまり,発言者までの特定は当該プロバイダーが厳格に管理している個人情報を得て初めて可能になるものであることは,公知の事実である。被控訴人の上記主張をもってしても,被控訴人の著作権侵害による責任についての上記判断を左右することができない。
また,被控訴人は,本件掲示板の運営者として,削除依頼は削除依頼掲示に記載すべきものとするガイドラインを設定しており,これ以外の方法による削除要請を受理しなくともよいかのごとく主張するが,これは,被控訴人が一方的に取り決めた通告方法にすぎず,本件掲示板に何ら特別な関係を持たない控訴人らに法的な効力を及ぼすことはできない。被控訴人は,少なくとも,著作権者と称する者から通知があった場合には,その通知者が連絡を取れる実在の者であることが明らかに分かり,かつ,当該発言を読んで明らかに著作権侵害の可能性が高いと判断されるときには,発言者にその旨を通知して対応策を問い合わせる必要がある。なお,被控訴人は,ファクシミリや電子メールを読んでおらず,内容証明郵便も家族が受領して自らは見ていないと主張するが,信用することができない。仮に,被控訴人が上記のとおり一人による事業で管理態勢が不十分であるため,自己に対する電子メールや内容証明郵便も読むことができないのが事実であるとしても,これによって,不法行為責任等の判断において被控訴人が有利に評価されることはあり得ない。
さらにまた,被控訴人は,著作権が侵害された本件書籍の送付を受けていないことから,著作権侵害の確認をすることができなかったと主張するが,上記のとおり,本件各発言の内容のみから,本件書籍が実際に刊行されたこと及びその内容がどのようなものであるかを容易に知ることができたのであるから,被控訴人が本件書籍の提示を受けていないとしても,著作権侵害の責めを免れるものではない。
(5) したがって,被控訴人は本件各発言を本件掲示板上において公衆送信可能状態に存続させあるいは存続可能な状態にさせたままにしている者として,著作権侵害の不法行為責任を免れない。
3 差止めの必要性
前記のとおり本件各発言は自動公衆送信されていたものである。現在のところは,本件掲示板に掲載されておらず,一般人に対し自動送信される状態にないが,これは,被控訴人が本件各発言の公開を保留しているにすぎず,将来送信可能化される可能性のあることは明らかであるから,本件各発言の自動公衆送信又は送信可能化について控訴人らが請求する差止請求は理由がある。
4 損害について
(1) 弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができ,これに反する証拠はない。
ア 本件書籍は,控訴人X及びその作品である本件漫画のファンを主要な読者とする書籍であり,本件各対談記事は,その性質上漫画家である控訴人Xの個性が発揮されていること,本件各発言は,本件書籍が発売された平成14年4月下旬からほどない平成14年5月3日から掲載が開始されたもので,本件対談記事を全文転載しているものであること,他方,控訴人小学館は,本件書籍の本件各対談記事,書き下ろしの漫画などが書店で立ち読みされないように,フィルムで包装する態様で本件書籍を出荷していた。
イ 本件書籍は,本体価格940円で,平成14年4月24日に書店で販売が開始されたものであり,その実売は数万部であった。
ウ 本件スレッドには,4か月余りで1000件弱の書き込みがあり,その後も,継続して控訴人Xに関する独立したスレッドが存在していること,したがって,これらスレッドにアクセスした者は本件各発言のある本件スレッドにもアクセスした可能性が高いこと,本件各発言は,本件電子掲示板の中の控訴人Xに係る本件スレッドに掲載されたものであり,控訴人X及び本件漫画のファンの多くが,書き込み(発言)をしないで本件掲示板にアクセスして本件各発言を読んだものである一方で,複数回にわたって本件掲示板にアクセスした場合も存する。
(2) これらの事実に,平成14年5月3日から被控訴人が本件各発言の公開を留保していると主張した平成16年1月19日までの間に,8か月余り経過していること,インターネット情報が一般に拡散しやすく,直接アクセスした者から本件各発言が広まった可能性を否定できないこと,したがって,直接間接に本件各発言に接することができた者はかなりの数に上ると推認されること,他方で,相当多数のアクセスが本件掲示板にあったとしても,300円の著作物使用料が徴収されるのであれば,掲示板閲覧者の中にはこれを支払ってまではアクセスしない者も多いものと推認できること,などを総合勘案し,編集長Aが被控訴人にあてて前記ファクシミリを送信して以降,本件各発言にアクセスがあった件数を3000件と認定した上,週刊誌「サンデー毎日」がファクシミリによるバックナンバー記事提供サービスの情報料を記事1回当たり300円としていることにかんがみ,本件対談記事の著作物使用料を200円と認めた上で,各控訴人が被った損害額を算定するのが相当である。
なお,本件対談記事1は,控訴人X,控訴人小学館の従業員のCとD,そして読者代表としてEの4名によるものであり,控訴人X以外の著作権については,職務著作あるいは著作権の譲渡により控訴人小学館に帰属していることから,本件対談記事1の著作権は4分の1が控訴人Xに,その余の4分の3が控訴人小学館に帰属しているものと認められる。
また,本件対談記事2は,控訴人XとBの2名によるものであるが,Bは控訴人小学館に著作権を譲渡しているので,本件対談記事2の著作権は控訴人Xと控訴人小学館に,それぞれ2分の1の割合で帰属しているものと認められる。
そうすると,次の計算式により,本件著作権侵害により被った損害額は,控訴人Xについて45万円であり,控訴人小学館について75万円と認めるのが相当である。
(計算式)
① 控訴人X関係
本件対談記事1について
200円×3000件×1/4=15万円
本件対談記事2について
200円×3000件×1/2=30万円
合計 45万円
② 控訴人小学館関係
本件対談記事1について
200円×3000件×3/4=45万円
本件対談記事2について
200円×3000件×1/2=30万円
合計 75万円