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著作権判例セレクション
【編集著作物】編集著作物(判例百選)の共同著作者性が争点となった事例
▶平成27年10月26日東京地方裁判所[平成27(ヨ)22071]▶平成28年11月11日知的財産高等裁判所[平成28(ラ)10009]
(注) 相手方(知的財産法を専攻する東京大学大学院法学政治学研究科・法学部教授)は,「相手方は,編集著作物たる著作権判例百選[第4版](本件著作物)の共同著作者の一人であるところ,抗告人(社会科学・人文科学関係の書籍等を出版する株式会社)が発行しようとしている著作権判例百選[第5版](本件雑誌)は本件著作物を翻案したものであるから,本件著作物の著作権を侵害する。」などと主張して,本件著作物の翻案権並びに二次的著作物の利用に関する原著作物の著作者の権利を介して有する複製権,譲渡権及び貸与権,又は著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)に基づく差止請求権(本件差止請求権)を被保全権利として,抗告人による本件雑誌の複製・頒布等を差し止める旨の仮処分命令を求める申立て(本件仮処分申立て)をした。これに対し,東京地方裁判所は,この申立てを認める仮処分決定(本件仮処分決定)をした。これを不服とした抗告人が保全異議を申し立てたが,原決定は,本件仮処分決定を認可した。
本件は,この原決定を不服とした抗告人が,原決定及び本件仮処分決定の取消し並びに本件仮処分申立ての却下を求めた事案である。
1 著作者性(争点1)について
(1) 当事者間に争いのない事実,疎明資料(各項に掲げたもの)及び審尋の全趣旨によれば,以下の事実が一応認められる。
(略)
(2) 前記認定のとおり,本件著作物の表紙には「A・Y・B・C編」と表示され,また,そのはしがきには,本件著作物編者らの氏名が連名で表示されるとともに,「この間の立法や,著作権をめぐる技術の推移等を考慮し,第4版では新たな構成を採用し,かつ収録判例を大幅に入れ替え,113件を厳選し,時代の要求に合致したものに衣替えをした。」とある。
本件著作物のような編集著作物の場合,氏名に「編」と付すことは,一般人に,その者が編集著作物の著作者であることを認識させ得るものといってよい。上記はしがきの表示及び記載も,本件著作物において編者として表示された者が編集著作物としての本件著作物の著作者であることを一般人に,認識させ得るものということができる。また,抗告人のウェブサイトの表示も,「編」の表示が「著者」の表示に相当するものとして一般に理解されることを前提とするものと見られる。
そうすると,本件著作物には,相手方の氏名を含む本件著作物編者らの氏名が編集著作者名として通常の方法により表示されているといってよい。
したがって,相手方については,著作者の推定(法14条)が及ぶというべきである。
これに対し,抗告人は,氏名に「編」と付された者が著作権法上の編集著作者とは異なる場合も少なくないなどとして,相手方につき著作者の推定は及ばない旨主張するけれども,現に氏名に「編」と付された者が編集著作者でない場合があったとしても,そのことをもって直ちに,「編」という表示が氏名に付されることでその氏名が編集著作物の「著作者名として通常の方法により表示されている」と一般人に認識させ得ることを否定するに足りるものとはいえない。その他これを否定するに足りる事情をうかがわせる疎明資料もない。
したがって,この点に関する抗告人の主張は採用し得ない。
(3) そこで,相手方につき著作者の推定が及ぶことを前提に,その推定の覆滅の可否を検討する。
ア 著作者とは著作物を創作する者をいい(法2条1項2号),著作物とは,思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう(同項1号)。編集著作物とは,編集物(データベースに該当するものを除く。)でその素材の選択又は配列によって創作性を有するものであるところ(法12条1項),著作物として保護されるものである以上,その創作性については他の著作物の場合と同様に理解される。
そうである以上,素材につき上記の意味での創作性のある選択及び配列を行った者が編集著作物の著作者に当たることは当然である。
また,本件のように共同編集著作物の著作者の認定が問題となる場合,例えば,素材の選択,配列は一定の編集方針に従って行われるものであるから,編集方針を決定することは,素材の選択,配列を行うことと密接不可分の関係にあって素材の選択,配列の創作性に寄与するものということができる。そうである以上,編集方針を決定した者も,当該編集著作物の著作者となり得るというべきである。
他方,編集に関するそれ以外の行為として,編集方針や素材の選択,配列について相談を受け,意見を述べることや,他人の行った編集方針の決定,素材の選択,配列を消極的に容認することは,いずれも直接創作に携わる行為とはいい難いことから,これらの行為をしたにとどまる者は当該編集著作物の著作者とはなり得ないというべきである。
イ もっとも,共同編集著作物の作成過程において行われたある者の行為が,上記のいずれの場合に該当するかは,当該行為を行った者の当該共同編集著作物の作成過程における地位や権限等を捨象した当該行為の客観的ないし具体的な側面のみによっては判断し難い例があることは明らかである。すなわち,行為そのものは同様のものであったとしても,これを行った者の地位,権限や当該行為が行われた時期,状況等により当該行為の意味ないし位置付けが異なることは,世上往々にして経験する事態である。
そうである以上,創作性のあるもの,ないものを問わず複数の者による様々な関与の下で共同編集著作物が作成された場合に,ある者の行為につき著作者となり得る程度の創作性を認めることができるか否かは,当該行為の具体的内容を踏まえるべきことは当然として,さらに,当該行為者の当該著作物作成過程における地位,権限,当該行為のされた時期,状況等に鑑みて理解,把握される当該行為の当該著作物作成過程における意味ないし位置付けをも考慮して判断されるべきである。
これに対し,抗告人は,著作者性の判断に当たっては,当該行為が行われた状況や立場といった背景事情を捨象し,もっぱら創作的表現のみに着目して判断されなければならない旨主張するけれども,複数人の関与の下に著作物が作成される場合の実情にそぐわないというべきであり,この点に関する抗告人の主張は採用し得ない。
ウ 以上を踏まえ,前記認定事実に基づき,以下検討する。
(ア) 第4版の編者選定にあたり,抗告人担当者のEは,基本的には,体調面からして相手方は編者とするにふさわしくないという考えを持っていたことがうかがわれる。他方,Eからこの点について相談を受けたA教授も,そのようなEの考えに理解を示しつつ,東大教授という相手方の地位や判例百選の性格その他の事情を考慮すると安易に相手方を編者から外すわけにもいかず,相手方の意向を確認したところ編者を引き受けることに強い意欲を示したこともあって,やむなく,相手方を名目的ながらも第4版の編者とすることとし,同時に,相手方に対しては,原案作成に当たり口出ししないように強く注意を与えたというのである。
しかも,これを受けた相手方も,A教授から原案作成の権限を取り上げられたものと理解したのであり,A教授の上記意図はおおむね正しく相手方に伝わったということができる。
また,このようなA教授の意図はEに対しても伝えられた。
さらに,B教授も,第4版の編者を持ちかけられた当初はこうした経緯を把握していなかったため,相手方を中心とした編集作業を想定していたところ,経緯の詳細を聞かされたことで,自らが中心的役割を果たすことを了解したことがうかがわれる。
そうすると,第4版の編者選定段階において,少なくとも抗告人,A教授,B教授及び相手方との間では,相手方は「編者」の一人となるものの,原案作成に関する権限を実質上有しないか,又は著しく制限されていることにつき,共通認識が形成されていたものといってよい。このことは,相手方が上記A教授からの注意につき承服し難い思いを抱いていたことを考慮しても異ならない。
そして,いまだ編者選定を進めているにすぎないこの段階において,その性質上本件著作物の編集著作物としての創作性のうち質量ともに中核的な部分を占めることになると思われる原案作成に関する権限を実質上なしとされ,又は著しく制限されることは,本件著作物の編集著作物としての創作性形成に対する関与を少なくとも著しく制限されることを事実上意味するものといってよい。
(イ) 実際,第4版の編集過程においては,まず,A教授とEとが,B教授及び編集協力者であるD教授が原案作成に当たること,大きな編集方針を決定するための編者会合は開催せず,B教授及びD教授が作成した原案に基づいて初回の編者会合から具体的な検討に入ることとすること,こうした方針を実現するための編者間での話の進め方などを相諮って取り決めた上,後にB教授及びD教授の了解をも得つつ,これらを実現した。
また,B教授及びD教授は,内容につき逐次A教授の確認を得,また,執筆者候補の選定につきA教授並びに同教授を介して相手方及びC教授の意見をも聞きつつも,おおむね相互のやり取りを重ねることを通じて主体的に原案作成作業を進めたものといってよい。
なお,この段階での相手方の関与は,執筆者候補として商標・意匠・不正競争防止法判例百選,特許判例百選の執筆者が参考になり得る旨のかなり概括的な意見を述べたにとどまる。
(ウ) こうして,B教授及びD教授が主体となって本件原案がまとめられたが,その後の修正の程度及び内容に鑑みると,本件著作物の素材である判例及びその解説(執筆者)の選択及び配列の大部分が本件原案のままに維持されたものといってよく,本件著作物との関係において本件原案それ自体の完成度がそもそもかなり高かったものと評価し得る。
(エ) B教授及びD教授が作成し,A教授の確認を経た上で,本件原案が相手方及びC教授に送付されたところ,C教授はこれにつき10項目の意見を述べ,B教授はこのうち2項目を採用して本件原案を修正した。C教授の意見には,簡単な理由の付されているものと理由の付されていないものとがあるが,B教授がこれをもとに修正を行うに先立ち,C教授とB教授,さらには相手方及びA教授との間で意見交換や議論が行われたことをうかがわせる事情は見当たらないことに鑑みると,上記修正はB教授単独の判断により行われたものとうかがわれる。しかも,上記修正後も,C教授がその修正を了承する旨回答するのみで,相手方及びA教授がこの点につき特に言及をしたことをうかがわせる疎明資料はない。
他方,相手方は,B教授に対し,電話及びメールで本件原案における執筆者候補につき特定の実務家1名の削除及び3名の追加を提案し,これを受けたB教授は,まず,1名の削除及び2名(a判事及びc弁護士)の追加(及び執筆対象となる判例の割当て)という形で本件原案を修正し,本件著作物編者らに示したが,b弁護士の方がc弁護士よりも優先順位が高い旨の相手方の意見を受け,結局,相手方の意見を全て受け入れた修正を行った。この間のやり取りの具体的内容にはやや判然としないところはあるものの,相手方及びB教授の各陳述書や関係するメールの内容等に鑑みると,両者の間で,提案の理由等に関する実質的な議論ないし意見交換が十分に行われたとは考え難い。また,この相手方の提案につきA教授及びC教授は特に言及しなかったことがうかがわれる。そうすると,相手方の意見を踏まえた本件原案の修正についても,修正の要否及び内容の判断はあくまでB教授主導で行われたものと見るのが適当である。
また,特定の実務家1名の削除及び3名の追加という執筆者候補に関する相手方の提案は,その後現に行われた執筆者候補の変更等を考慮すれば,創作性を認める余地がないほどありふれたものとまではいい難いが,追加すべきとされた3名の地位,経歴等に加え,相手方の提案が反映されるに至る経緯をも考慮すると,斬新な提案というべきほど創作性の高いものとはいい難く,むしろ,著作権法分野に関する相応の学識経験を有する者であれば比較的容易に想起し得る選択肢に含まれていた人選といってよいから,その提案に仮に創作性を認め得るとしても,その程度は必ずしも高いものとは思われない。
(オ) こうして本件原案修正案が作成されたことを受け,本件編者会合の日程調整が進められるとともに,本件一覧表素案原案,本件一覧表素案,本件一覧表素案修正案が順次作成されたが,相手方は,日程調整を除きこのプロセスに何ら関与していない。
(カ) 相手方も出席して開催された本件編者会合においては,事前に本件著作物編者らに送付された本件一覧表素案修正案に基づき検討が行われるとともに,事前にD教授からEに対してされた指摘に基づき編集部から北朝鮮事件知財高裁判決の追加が提案され,執筆者候補1名と併せその追加が決定され,その後,本件著作物編者ら全員の一致により,第4版に収録されるべき判例(113件)の選択,配列及びその執筆者候補(113名)の割当てが,項目立ても含めて決定された。本件編者会合における出席者間の具体的なやり取りの詳細は判然としないが,出席者らの各陳述書の内容に鑑みれば,議論の紛糾等はないまま比較的短時間で終了したことがうかがわれる。そうすると,本件編者会合における相手方の具体的な関与は,上記判決の追加並びに第4版に収録されるべき判例及び執筆者候補の選択,配列等に賛同したという限度にとどまるといってよい。
前記のとおり,他人の行った素材の選択,配列を消極的に容認することは,いずれも直接創作に携わる行為とはいい難いところ,本件編者会合において,相手方は,既存の提案(本件一覧表素案修正案)や第三者の提案に賛同したにとどまるのであるから,このような相手方の関与をもって創作性のあるものと見ることは困難である。もっとも,本件編者会合での決定が基本的には本件著作物における素材の選択及び配列に関する最終的なものと位置付けられていたと見られることに加え,相手方がその学識経験に基づき熟慮の上で賛同した場合を想定すれば,なおこのような関与に創作性を認め得る場合もあるとは思われるが,その場合であっても,相手方の関与はあくまで受動的な関与にとどまることや本件原案の完成度の高さ等を考慮すれば,その程度は必ずしも高くないと思われる。
(キ) 本件編者会合後に各執筆者候補に対する執筆依頼が行われ,これに対する執筆者候補の反応を受けて共同執筆の申入れの了承,執筆者候補の変更等が行われたが,こうした各執筆者候補の要望等に関するEからの相談に対し,相手方の対応は,b弁護士からの共同執筆の申入れに関するものを除き,応答しないか,他の本件著作物編者らないしEの提案に賛成という結論のみを回答するにとどまるものであった。b弁護士からの共同執筆の申入れに関しては,相手方は,これを是とする理由をいくつか挙げた上で,共同執筆を認めてよい旨意見を述べたが,この時点で,他の執筆者については既に共同執筆を認めた例が1件あり,また,相手方に先立ち,B教授が既に了承し,C教授も基本的にB教授の判断を尊重する旨の意見を述べていた。
ここでの相手方の関与についても,その経過やb弁護士からの申入れに賛同する理由として示された内容を踏まえると,本件編者会合における相手方の関与に関する評価(上記(カ))と同様の評価が妥当するというべきである。
(ク) 本件編者会合後に上級審の判決が出された事件や執筆者から疑問点等の指摘のあった判例に関し,収録すべき判例の変更も本件編者会合後にいくつか行われたが,これに対する相手方の対応は,Eが,他の本件著作物編者と相談の上,変更を決定した旨報告をしたのに対し,その対応を了承する旨の意見を述べるにとどまるものであった。なお,本件編者会合後にロクラクⅡ事件控訴審判決が出されたことを受けての対応につきEから本件著作物編者らにされた相談に対しては,相手方は,簡単な理由を付して意見を述べたが,結論的には先に述べられたC教授の意見に賛成するというものであった。
ここでの相手方の関与についても,その経過やC教授の意見に賛成する理由として示された内容を踏まえると,本件編者会合における相手方の関与に関する評価(上記(カ))と同様の評価が妥当するというべきである。
(ケ) また,本件編者会合後,ある判例の項目名及びその配置が問題となったところ,Eは,最終的には相手方の示唆に基づきこれに対応したが,その示唆とは,当該項目の属する章のタイトルにつき「『差止め』を『差止め等』に変更して逃げておいた方がいい」という趣旨のものであった。ここでの相手方の関与については,そもそも本件著作物の編集著作者としての創作性を認め得る程度のものではないというべきである。
エ このように,少なくとも本件著作物の編集に当たり中心的役割を果たしたB教授,その編集過程で内容面につき意見を述べるにとどまらず,作業の進め方等についても編集開始当初からE及びB教授にしばしば助言等を与えることを通じて重要な役割を果たしたというべきA教授及び抗告人担当者であるEとの間では,相手方につき,本件著作物の編集方針及び内容を決定する実質的権限を与えず,又は著しく制限することを相互に了解していた上,相手方も,抗告人から「編者」への就任を求められ,これを受諾したものの,実質的には抗告人等のそのような意図を正しく理解し,少なくとも表向きはこれに異議を唱えなかったことから,この点については,相手方と,本件著作物の編集過程に関与した主要な関係者との間に共通認識が形成されていたものといえる。しかも,相手方が本件原案の作成作業には具体的に関与せず,本件原案の提示を受けた後もおおむね受動的な関与にとどまり,また,具体的な意見等を述べて関与した場面でも,その内容は,仮に創作性を認め得るとしても必ずしも高いとはいえない程度のものであったことに鑑みると,相手方としても,上記共通認識を踏まえ,自らの関与を謙抑的な関与にとどめる考えであったことがうかがわれる。
これらの事情を総合的に考慮すると,本件著作物の編集過程において,相手方は,その「編者」の一人とされてはいたものの,実質的にはむしろアイデアの提供や助言を期待されるにとどまるいわばアドバイザーの地位に置かれ,相手方自身もこれに沿った関与を行ったにとどまるものと理解するのが,本件著作物の編集過程全体の実態に適すると思われる。
(4) そうである以上,法14条による推定にもかかわらず,相手方をもって本件著作物の著作者ということはできない。
(5) これに対し,相手方は,自身が本件著作物の著作者の一人である旨主張するけれども,上記のとおり,本件著作物の編集過程全体を子細に検討する限り,その主張を採用することはできない。
なお,相手方は,前記認定事実のほか,平成20年9月頃にD教授に対し収録すべき判例につき具体的に意見を述べた旨や,執筆者候補として3名の実務家の追加を提案した際に,執筆を割り当てるべき判例についてもB教授に対し意見を述べた旨などを主張するけれども,前記のとおり,実務家追加の提案時にそのような意見を述べたことについてはこれを一応認めるに足りる的確な疎明資料はなく,この点は,D教授に対する意見についても同様である。
また,仮にこうした事実が一応認められたとしても,D教授は,A教授の教科書を中心に多様な文献等を比較検討した上で,第4版に収録すべき判例のリストアップを進めたこと,追加の提案に係る実務家3名に割り当てられた判例は相手方が削除を提案した実務家に割り当てられたものや本件原案で既に「候補となり得る裁判例」とされていたものであることなどに鑑みると,相手方による他の関与と同様に,その創作性の程度は必ずしも高いとまでは思われないことから,なお前記と認定及び評価を異にすべきとするには足りないというべきである。
2 以上によれば,相手方は,本件著作物の著作者でない以上,著作権及び著作者人格権を有しないから,抗告人に対する被保全権利である本件差止請求権を認められない。
したがって,その余の点につき検討するまでもなく,相手方による本件仮処分申立ては理由を欠き却下されるべきものであるから,これを認めた本件仮処分決定及びこれを認可した原決定をいずれも取り消し,本件仮処分申立てを却下することとし,主文のとおり決定する。