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著作権判例セレクション

【写真著作物】議員のイメージ写真(ほぼ正面から撮影した肖像写真)の著作物性を認めた事例

▶平成2329日東京地方裁判所[平成21()25767]
(1) (証拠等)によれば,本件写真の制作等に関する事実は,次のとおりであると認められる。
ア 本件写真は,縦長のカラー写真であり,白色ないしこれに近い淡色の無地を背景に,ネクタイ及びスーツを着用し,ほぼ中央に身体を左斜め前に向け,語りかけるような表情で右手を挙げたポーズのB議員の胸より上の部分を,ほぼ正面から撮影した肖像写真である。
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ウ 原告は,平成20年6月,リーフレット等のデザイン制作会社を通じて,B議員のイメージ写真の撮影を依頼され,同月24日,東京都渋谷区内のスタジオで,本件写真を撮影した。
エ 原告は,本件写真の撮影に当たり,B議員の精悍さや実直な人柄,都政にかける情熱を表現するために,いろいろな角度から撮影し,様々なポーズを要求したり,スーツやネクタイの色合いを考えて組合せを替えたりした。特に,ポスターや写真を見たときに見下ろしているようなイメージを持たれないよう,カメラの位置を変えたり,語りかけるようなイメージを想定したりしながら本件写真を撮影した。その際,ライティングは大型ストロボを8台使用し,ディフューザーを用いて光を柔らかくしながら,ストロボ光の光量や当たる角度を調整し,光が柔らかくなりすぎないようにしてキレを出し,柔らかさの中にも爽やかさが醸し出されるようにした。
オ 本件写真は,B議員の政治活動に伴う広報活動用として,同議員のリーフレットやホームページ等で使用されることを予定して撮影されたものであり,平成21年5月の連休明けに本件サイトに掲載された。(2) 以上によれば,原告は,本件写真の撮影に当たり,撮影の趣旨,目的を踏まえて,照明,撮影の角度,ポーズ,服装等に創意工夫を凝らして撮影したことが認められ,本件写真には,原告の思想,感情が創作的に表現されていると評価することができる。したがって,本件写真について,著作物性を肯定することができる。