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著作権判例セレクション
【不法行為】不法行為(著作権侵害)における侵害者の過失責任
▶平成23年10月31日知的財産高等裁判所[平成23(ネ)10020]
控訴人は,被控訴人が本件写真の著作権を有することを知らないか,又は本件写真の芸術的若しくは商業的価値を認めていないから,無許可で使用しても著作権侵害の意図がなく,損害賠償責任を負わないと主張する。
しかし,著作権侵害につき不法行為に基づく損害賠償請求権が成立するためには,行為者に自己の行為が他人の著作権を侵害するものであることにつき故意又は過失があれば足り,また,故意又は過失が認められるためには対象となる著作物が他人の著作物であることを認識し又は認識し得れば十分であって,著作権の帰属に関する行為者の認識の有無,行為者が著作権侵害の意図を有していたか否か,さらには対象となる著作物に対して行為者が芸術的若しくは商業的価値を認めていたか否かは不法行為が成立するための要件ではない。