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著作権判例セレクション
【氏名表示権】氏名表示として「協力者」「参考文献の著者」では足りないとした事例
▶平成25年03月14日東京地方裁判所[平成23(ワ)33071]
原告の氏名表示権の侵害の成否について
被告書籍の第3章は,原告の著作物又はこれを原著作物とする二次的著作物を含むところ,証拠によれば,被告らは,被告書籍の発行に際し,原告の同意を得ることなく,被告書籍に原告の氏名を著作者名として表示しなかったことが認められるから,被告らは,原告の氏名表示権を侵害するものと認められる。
被告らは,被告書籍の参考文献欄等に原告の氏名を表示したと主張する。
証拠によれば,被告書籍において,原告の氏名は,あとがき欄には協力者として,参考文献欄には参考文献である原告書籍の著者として,それぞれ表示されていることが認められるが,氏名表示権は,「著作者名として」表示し,又は表示しないこととする権利であるから(著作権法19条1項),協力者や参考文献の著者として表示されるだけでは足りない。被告らの上記主張は,採用することができない。