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著作権判例セレクション

【言語著作物】「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」(法10条2項)の意義

昭和471011日東京地方裁判所[昭和44()9353]
被告らは、また、本件手記、論文は、いずれも、新聞紙または雑誌に掲載した雑報または時事を報道する記事にあたるから、著作権の目的にはならない旨主張する。
本件に適用のある著作権法第10条第2項にいわゆる「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」(著作権法附則第2条第1項、第17条。なお、旧著作権法第11条第2号においては「新聞紙又ハ雑誌ニ掲載シタル雑報及時事ヲ報道スル記事」)とは、単なる日々の社会事象そのままの報道記事をいうものと解すべきであるところ、前記のとおり、本件手記、論文は、作者が労働者としての立場から自己の経験またはその利害関係あるいは生活要求に根ざした意識に立脚して人間社会における価値に関して表現された思想、感情を内容とするものであるから、単なる日々の社会事象そのままの報道記事にあたらないことが明らかである。被告らの主張は採用できない。