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著作権判例セレクション
【美術著作物】饅頭の包装に付した標章(文字及び絵柄)の著作物性を否定した事例
▶平成16年12月15日東京地方裁判所[平成16(ワ)3173]▶平成17年9月15日知的財産高等裁判所[平成17(ネ)10022]
著作権法2条1項1号は,著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と規定し,さらに同条2項は,「この法律にいう『美術の著作物』には,美術工芸品を含むものとする。」と規定している。これらの規定は,意匠法等の産業財産権制度との関係から,著作権法により著作物として保護されるのは,純粋な美術の領域に属するものや美術工芸品であって,実用に供され,あるいは産業上利用されることが予定されている図案やひな型など,いわゆる応用美術の領域に属するものは,鑑賞の対象として認められる一品製作のものを除いて,特段の事情のない限り,これに含まれないことを示しているというべきである。
本件標章は,①当初から本件饅頭の商品名を示すものとして作成され,包装紙に商品名を表示する態様で使用されているから,正に産業上利用される標章であること,②別紙標章目録記載のとおり,漢字の「撃」に欧文字の「GEKI」を一部重ねたものであるが,「GEKI」は「撃」の音読みをゴシック体の欧文字でローマ字表記したものにすぎず,「撃」部分も,社会通念上,鑑賞の対象とされる文字と解するのは相当でないことから,本件標章は,著作物とは認められない。
[控訴審同旨]