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著作権判例セレクション
【過失責任】著作権表示(©マーク)がないことは「過失」がなかったことの根拠となるか/温泉街の活性化を目的としたイベントの実行委員会の実行委員長の過失責任を認定した事例(温泉街の活性化を目的としたイベントでの「黒猫のイラスト」の無断改変が問題となった事例)
▶平成27年9月10日大阪地方裁判所[平成26(ワ)5080]
(注) 本件は,原告が,①被告P2に対して,原告が作成したイラスト(「原告イラスト」)を無断で改変して被告イラスト1を作成し,被告イラスト1をインターネット上にアップロードして原告の著作権(複製権又は翻案権,公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権,同一性保持権)を侵害したと主張し,不法行為に基づく損害賠償請求等の支払を求め,②被告P2及び被告P3(「被告ら」)に対して,被告イラスト1を基に被告イラスト2ないし17を作成し,被告イラスト2ないし17をガイドブック等として印刷して譲渡し,若しくはウェブページ上にアップロードするなどして,原告の著作権(被告らにつき複製権又は翻案権,被告P3につき譲渡権及び公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権,同一性保持権)を侵害したと主張し,連帯して,不法行為に基づく損害賠償請求等の支払などを求めた事案である。
なお、被告P2は,被告イラスト1の作者である。被告P3は,福島県いわき市の地域の活性化を図るために,「いわきフラオンパク」という名称のイベントを企画・開催しているいわきフラオンパク実行委員会(「実行委員会」)の委員長である。
原告は,原告イラストを作成した後,同イラストを自己のホームページ上にアップロードした。
被告P2は,インターネット上で発見した黒猫のイラストをダウンロードし,同イラストの頭部を切り取り,同頭部にフラダンスの衣装等を組み合わせて,被告イラスト1を作成した。
被告P2が作成した被告イラスト1を基に,被告イラスト2ないし17が作成され,実行委員会において,それらのイラストを使用したいわきフラオンパクのガイドブック等を作成,配布した。
1 争点(1)(被告P3に被告適格があるか)について
原告の被告P3に対する本件訴えは,給付の訴えであるところ,給付の訴えにおいては,原則として,原告が給付請求権を有すると主張する相手方に被告適格が認められる。そして,原告は,本件において,被告P3自身が行った著作権及び著作者人格権侵害の(共同)不法行為に基づき,被告P3に対して損害賠償請求権を有する旨及び差止請求権等を有する旨を主張しているのであり,実行委員会に対して有する損害賠償請求権や差止請求権等を被告P3に対して行使すると主張しているわけではない。したがって,実行委員会が権利能力なき社団であるか否かを判断するまでもなく,被告P3には被告適格が認められる。なお,原告は,訴状の当事者目録において,被告P3について,「いわきフラオンパク実行委員会ことP3」と表示しているが,証拠によれば,実行委員会が被告P3の個人事業とは認められないから,本判決の当事者の記載では,単に被告P3として特定することとする。
2 争点(2)(被告らの具体的行為),争点(3)(被告P2に著作権侵害及び著作者人格権侵害に関して故意又は過失が認められるか),争点(4)(被告P2の行為につき私的使用目的が認められるか)及び争点(5)(被告P3に著作権侵害及び著作者人格権侵害に関して故意又は過失が認められるか)について
(1)
被告イラスト1について
ア 前記前提事実に,後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。
(ア) 原告によるイラストの掲載
原告は,平成15年頃,ホームページを開設して猫のイラストを掲載し,平成17年頃からは,「P7」の作家名を用いて,Tシャツや年賀状等のデザイン制作を受注するなどの活動をしていたが,原告イラストを作成し,同ホームページ上で公開した。
平成25年11月8日時点の同ホームページでは,「P7の「1000匹猫イラスト」は著作権フリーではありませんが,下記ルールで多くの猫好きの皆様にご利用頂くのは大歓迎です。」とし,個人が非営利目的でブログの背景に使用するもの等について,包括的な使用許諾をする旨,その場合でも,原寸より拡大したり修正を加えること等を禁止する旨が記載されている。
(イ) 被告イラスト1が作成された経緯
いわき市湯本温泉郷では,各種イベントを通じて温泉街の活性化を図る目的で,いわき湯本温泉旅館協同組合,いわき湯本温泉観光協会,湯本町人等による実行委員会が中心となって,平成20年から「いわきフラオンパク」というイベントを開催していたが,実行委員会のメンバーであるP4は,同年8月頃,第2回いわきフラオンパクに向けたイベントの一つとして,京都の寺に招き猫を奉納するというイベントを企画した。
そこで,P4は,近所のコンビニエンスストアにおいて,被告P2に対し,黒猫の縫いぐるみの下絵を描いてほしいと依頼した。
被告P2は,前提事実のとおり,インターネット上で発見した黒猫のイラストをダウンロードし,同イラストの頭部を切り取り,同頭部にフラダンスの衣装等を組み合わせ,被告イラスト1を作成した上で,同イラストを実行委員会のメーリングリストに投稿した。
P4は,被告イラスト1を基に縫いぐるみを作成し,寺に奉納した。
(ウ) 被告P2がブログに写真をアップロードした経緯
平成20年12月2日,被告P2は,P4から呼び出されて,上記奉納イベントの記者会見に参加し,その際,被告P2及び被告P2の娘が,被告イラスト1が記載された用紙を持っている姿が,写真に撮影された。
被告P2は,上記写真を自身のブログにアップした上,「第2回いわきフラオンパク-温泉博覧会の応援キャラクターとして,黒猫の「「フラねこ(仮称)」が誕生した。」,「事業委員会メンバーのP2さん(43)がデザインを考案。」,「愛称の選定やグッズ化など夢は広がる。事業委員会は「将来的にはいわき全体を応援するキャラに育てたい」としている。」などと記載された新聞記事とともにそのときの写真をアップし,さらに,「そんでもって,これが私の絵が形になった『フラねこ』ちゃん。」との文言とともに,被告イラスト1を基にした縫いぐるみと思われるものの写真をアップした。
イ 被告イラスト1は,首より下の部分は原告イラストと異なるが,頭部の描画が原告イラストとほぼ同一であるから,原告イラストの本質的特徴を感得し得るものである。そして,このような類似性に加え,前記認定のような被告P2が被告イラスト1を作成した経緯からすると,被告P2は,原告のホームページにアクセスし,原告イラストに依拠して被告イラスト1を作成したと推認される。したがって,被告イラスト1は,原告イラストを翻案したものであり,被告P2は,原告の翻案権,氏名表示権及び同一性保持権を侵害したということができる。
また,被告P2が,被告イラスト1が写った写真をブログにアップロードした行為は,原告の公衆送信権を侵害したものであるということができる。なお,この写真における被告イラスト1の複製・利用は同イラストの宣伝を目的とするものであるから,被告P2のこの行為は,著作権法30条の2第2項により許容されるものではない。
ウ 被告P2は,原告は,自らの著作権を厳格に管理していたわけではなく,特に著作権の表示をせずに,自由に使用することも認めていたのであるから,被告P2がウェブ検索の結果探した画像をコピーして使用したとしても,その行為には過失は認められないと主張している(争点(3))。
しかしながら,著作物に著作権者の表示がなされていなくとも,当該著作物は著作権法上保護の対象となるのであり,現に,著作権表示のない著作物は多数存在している。そして,原告イラストは,美術の著作物として著作権の対象となることは明らかなものである。そうすると,仮に原告のホームページにおいて,原告イラストについて©マークによる著作権表示がなかったとしても,著作権放棄である旨の表示がない限り,原告イラストは著作権放棄ではないと考えるのが自然であり,乙3の記載からすると,被告イラスト1の作成当時も,原告のホームページに著作権放棄の表示があったとは認められない。したがって,被告P2は,実行委員会に提供するための改変行為が原告の著作権及び著作者人格権に牴触するものであることを,容易に認識し得たというべきである。
以上より,被告イラスト1を作成し,それが写った写真をブログにアップした行為が原告の著作権及び著作者人格権を侵害することについて,被告P2には過失があったと認められる。
エ 被告P2は,被告P2の上記行為につき私的使用目的を主張している(争点(4))。
しかし,被告P2は,記者会見まで行った第2回いわきフラオンパクのイベントに供するために被告イラスト1を作成したのであるから,その行為が「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲において使用すること」(著作権法30条1項柱書き)を目的とするものであるとは認められない。また,被告イラスト1を,実行委員会のメンバーでなくとも誰でもアクセスできるブログにアップする行為についても,上記の私的使用を目的とするものであるとは認められない。
(2)
被告イラスト2について
ア 後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
第2回いわきフラオンパクが開かれた後,第3回いわきフラオンパクの準備段階において,ガイドブック(プログラム冊子)に関して実行委員会内部で協議していた際,P4が,被告P3に対し,被告P2が作成した被告イラスト1をワンポイントのキャラクターとして利用してはどうかと提案した。
そこで,被告P3は,被告イラスト1の作成経緯等について特に被告P2に確認することなく,同イラストを掲載することに問題はないと考え,被告イラスト1に基づいた被告イラスト2を表紙に用いたガイドブックの印刷を印刷業者に依頼した。
他方,被告P2は,第2回いわきフラオンパクの後,第3回いわきフラオンパクが開催されるまでに,少なくとも,平成21年7月8日,同年8月26日,同年9月2日,同年10月27日に,それぞれいわきフラオンパクに係る企画等の会議に出席し,同年11月2日には,第3回いわきフラオンパクのガイドブックの第1稿が被告P2のもとに届けられた。また,その後もガイドブックの校正は続けられ,完成したガイドブックは,実行委員会から1万1000部発行された。
イ 被告イラスト2が原告イラストに類似することは当事者間に争いがなく,前提事実のとおり,被告イラスト2は被告イラスト1に依拠して作成されたものであるから,被告イラスト2は,原告イラストを翻案したものということができる。そして,被告イラスト2の作成者は判然としないものの,前記認定事実からすると,被告P3は,実行委員会の代表者として第3回いわきフラオンパクのガイドブックに被告イラスト2を使用することを決め,被告P2は,少なくとも第1稿の段階でそのことを知りつつ,受容したと認められる。
ウ 被告P3は,被告P2が作成した被告イラスト1に基づいて作成された被告イラスト2を第3回いわきフラオンパクのガイドブックに掲載する際、その著作権の所在、著作権違反がないか否かについて、厳格に確認する注意義務はなかったと主張している(争点(5))。
確かに実行委員会は,いわき市常磐湯本町の有志が地域活性化のために集まった集団にすぎず,その仲間の一人である被告P2が作成したとする被告イラスト1について,特に著作権侵害を疑うべき事情があったとは認められない。
しかしながら,実行委員会は,後記3のとおり,約21万部という少なくない部数のガイドブックやチラシを発行することで,広く集客し,地域の事業者が経済的に利益を上げることを企図して,約3か月もの間,第3回いわきフラオンパクを開催したのであり,被告イラスト2は,「フラねこ」という愛称を付した応援キャラクターとして使用されたのである。このように,被告イラスト2が,集客目的の長期イベントのキャラクターデザインとして使用されたことを考えると,実行委員会の代表者である被告P3には,そのデザインが他人の著作権を侵害するものでないか否かに意を払い,特に疑うべき事情がなくともそのデザインの作成に至る経緯を確認すべき注意義務があったと認めるのが相当であり,町おこし目的のボランティアベースの活動だからといって,何らの調査義務も課されないということはできない。
本件についてみると,前記アのとおり,被告P3は,第3回いわきフラオンパクの準備段階において,被告P2と会議において同席しており,被告イラスト1をキャラクターとして利用するに際し,被告P2に対して被告イラスト1の作成経緯を確認し,他人のイラストに依拠していないかどうかを確認することは容易であったといえる。しかしながら,被告P3は,被告P2に対する確認を怠っており,過失があったと認められる。
エ 被告P2は,被告イラスト2が第3回いわきフラオンパクのガイドブック等に使用されることを予見できなかったと主張する(争点(4))。
しかし,被告P2は,被告イラスト1が写った写真をブログにアップした際に,同時に新聞記事をアップしており,同記事には目を通していると考えられるところ,同記事においては,同イラストのキャラクターにつき自身がデザインを考案したとされた上で,愛称の選定やグッズ化,いわき全体を応援するキャラへ育てることなどの記載があり,被告イラスト1が縫いぐるみの下絵だけでなく,より広くキャラクター化される可能性があることを被告P2は知り得たといえる。その上で被告P2は,被告イラスト1をブログに掲載した後も,前記アのとおり,実行委員会の会議に出席し,ガイドブックの校正などにも関わっていたのであり,被告イラスト1を基にしたキャラクターがガイドブックに使用されることを認識し,受容していたといえる。被告P2としては,過失に基づくとはいえ著作権侵害により被告イラスト1を作成し,そのデザインを実行委員会に提供し,自らも実行委員会の運営に深く関わっているのであるから,実行委員会が同キャラクターをいわきフラオンパクのガイドブックに使用することを認識した時点において,他人のイラストに依拠して被告イラスト1を作成したことを被告P3らに伝え,使用を中止するよう取り計らう注意義務があったといえ,かかる義務に反した被告P2には過失が認められる。
オ 以上によれば,被告イラスト2を第3回いわきフラオンパクのガイドブックに使用した行為は,原告の原告イラストに関する翻案権を侵害するとともに,氏名表示権及び同一性保持権を侵害する行為であり,被告らには共同不法行為が成立すると認められる。他方,原告が指摘する甲4では,イラスト2が使用されているか否かが一見して判読できず,原告イラストの表現の本質的特徴を感得し得るとは認められないから,これについて公衆送信権の侵害は認められない。
(3)
被告イラスト3について
(以下略)
3 争点(6)(原告の損害額)について
(1)
著作権侵害に関する損害額について
ア 以上検討したとおり,被告らが責任を負う被告各イラストの使用状況は,下記のとおりとなる。
(略)
イ ところで,甲61によれば,原告が平成27年に自己のネコのイラストやデザインを商用使用に許諾した際には,印鑑については1個当たり130円,年賀状については,デザイン代が3000円で1枚当たりが2.5円,カレンダーについては,販促用は1部当たり20円,販売用は1部当たり70円の使用許諾料としたことが認められる。
しかし,本件では,いわきフラオンパクという一つの包括的なイベントのための各種広報媒体に被告各イラストが使用されており,上記の許諾例ように個々の商品に被告のイラストが使用されて有償で取引された場合とは異なり,個々の取引価格の中にイラストの価値が含まれているというものではない。また,被告イラスト12を使用したポスターにも示されるとおり,いわきフラオンパクは,いわき市も関わった地域活性化のための取組であるという公共的な性格も有しており,各種広報媒体も,第3回いわきフラオンパクのガイドブックを1部100円で販売したこと以外は無償で配布されている(上記ガイドブックの販売額も15万5900円にとどまる。)ことから,被告各イラストの使用を通常の商用使用と同様に捉えることはできない。これらの点からすると,本件で著作権法114条3項の損害額を算定するに当たり,上記の許諾例と同様に考えることは相当でないというべきであり,同様に,原告が挙示する他社の許諾料の例によることも相当でないというべきである。
そこで,先に認定した広報媒体への被告各イラストの使用態様,それらの広報媒体の印刷部数,上記のようないわきフラオンパクの趣旨と性質に加え,いわきフラオンパクは,第3回のガイドブックの売上げが15万5900円にとどまったことからして,地域外からの来場者数はさほど多くなく,比較的小規模なものであったと推認されること,第5回以降は印刷部数も少なく,規模も大きく縮小されたこと,さらに,原告や原告イラストが社会的に周知であるとは認められないこと等の本件に表れた事情を総合考慮すると,本件で相当な損害額としては,被告らの共同不法行為分につき50万円,被告P2独自の不法行為分につき5万円,被告P3独自の不法行為分につき10万円と認めるのが相当である。
(2)
著作者人格権侵害に関する損害額について
前記の被告各イラストの印刷枚数,原告イラストを猫がフラダンスをするものに改変するという態様,被告各イラストの公表の態様,殊に被告イラスト1に関して,「これが私の絵が形になった『フラねこ』」と,被告P2が,自己のオリジナルキャラクターであるかのように記載していること,原告がイラストレーターで自己のホームページにおいて拡大や修正等を禁じる旨を明記していること等に照らすと,発端となった被告P2の被告イラスト1の作成等に関して原告に生じた精神的損害の額は5万円と,それに続く被告らの被告イラスト2ないし17(ただし11,13及び16を除く。)の翻案使用に関して原告に生じた精神的損害の額は,被告らの共同不法行為分につき15万円,被告P2及び被告P3独自の不法行為分につき各5万円とそれぞれ認めるのが相当である。
(3)
弁護士費用について
被告らの各行為により,被告らが負担すべき弁護士費用相当額としては本件における紛争の内容,経過等に鑑みると,10万円と認めるのが相当である。
4 争点(7)(被告らが今後侵害行為を行うおそれがあるか)について
(1)
原告は,被告らが,いわきフラオンパクにおいて,引き続き被告イラストを使用するおそれが高く,差止めの必要性及びデータを廃棄する必要性があると主張している。
しかしながら,いわきフラオンパクは,平成25年6月23日から同年7月15日まで開催された第6回いわきフラオンパクを最後に以後開催されていないことが認められ,今後も開催される見込みは低く,被告イラストが,今後,いわきフラオンパクにおいて使用される可能性は低いといえる。
(2)
また,原告は,被告P3は甲4及び甲43のとおり,自身が管理するブログに被告イラストを掲載しており,差止めの必要性は失われていないとも主張している。
しかし,甲4に関しては,被告イラスト2が使用されているかどうかは,一見しただけでは容易には判明せず,原告イラストの表現の本質的特徴を感得することもできない。また,甲43に関しては,被告P3が管理しているサイトであることをうかがわせる記載は見当たらない。原告の主張する事実をもって,差止めの必要性が失われていないとはいえない。
(3)
以上に加え,被告らは,故意又は過失は争っているものの,被告各イラストが原告イラストに依拠していることを認め,自身の管理するブログから被告各イラストを削除するとともに,関係機関に問合せを行い,被告各イラストの削除を依頼していることも併せて考慮すると,被告らが今後侵害行為を行うおそれがあるとは認められず,原告の差止請求及びデータ廃棄請求は認められない。
5 争点(8)(謝罪広告の適否)について
原告が求める謝罪広告は,著作権法115条の「著作者…の名誉若しくは声望を回復するために必要な措置」として請求されているものであるところ,同措置の請求が認められるためには,著作者の名誉感情が毀損されたことでは足りず,著作者の社会的声望名誉が低下したことを要すると解される(最高裁判所昭和61年5月30日判決参照)。
しかし,本件では,被告各イラストの内容及び使用態様が原告の社会的声望名誉を毀損するものとは認められない上,他にそのような事情が存するとも認めるに足りないから,原告の謝罪広告請求は理由がない。