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著作権判例セレクション

【言語著作物】商品名の著作物性を否定した事例

令和5511日大阪地方裁判所[令和3()11472] ▶令和6126日大阪高等裁判所[令和5()1384]
[控訴審]
イ 本件各商品の商品名の著作物性
() 一審被告が被告サイトに掲載した本件各商品の商品名は、いずれも本件各商品自体に印刷された商品名の欧文字の大文字表記を小文字表記にしたり、欧文字を日本語表記にしたりしたほか、「大型写真集」「+ケース付」「+メッセージカード」といった本件各商品の特徴をありふれた表現で説明したにとどまり、「思想又は感情を創作的に表現したもの」とは認められない。したがって、被告サイト上の上記商品名に著作物性は認められないから、一審被告はこれら商品名について著作権を有しない。
() これに対し、一審被告は、例えば本件商品9の表紙には欧文字で「PHOTO DESK CALENDAR」としか書かれていないのに対し、「卓上カレンダー2022~2023年(2年分)+ステッカーシール[12点セット]」という自ら考えた商品名を付した旨主張するが、その商品名なるものは、上記商品自体に付された商品名の欧文字の一部を日本語表記にし、商品自体の特徴をありふれた表現で複数付け足したにすぎず、商品のどのような特徴を付記するか等につき一審被告が何らか考慮したとしても、上記表現が著作権法上における創作的表現と認められるものではない(そもそも本件商品9の裏表紙には「CHA EUN WOO 2022-2023 PHOTODESK CALENDAR」及び「CALENDARSTICKER」の文字が印刷されており、一審被告が付記した同商品の特徴の選択にも独自性はない。)。一審被告は、本件商品1、2、4ないし8に印刷された「PREMIUM PHOTOBOOK」について、一審被告がつけた「Premium Photo Book」という商品名は、どの部分を大文字とし又は小文字とするか、スペースを入れるのか入れないのか、スペースを入れるとしても半角か全角かといった点を熟慮の上で選択したものであるなどとも主張するが、それがインターネットショッピングサイトにおいて消費者の関心を惹くよう考慮した結果であるとしても、商品本体に印刷されている商品名の表記につき通常のゴシック体のアルファベットの大文字と小文字の組み合わせやスペースの入れ方によって工夫すること自体はアイデアの類にすぎず、著作権法上保護される思想又は感情の「表現」には当たらない。したがって、一審被告の上記主張はいずれも採用できない。