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著作権判例セレクション
【著作権の制限】社内での内部的利用は「私的使用」に当たらないとした事例
▶昭和52年07月22日東京地方裁判所[昭和48(ワ)2198]
以上の事実によれば、被告T舞台の被用者であるC及び被告F工業の代表取締役であるDは、昭和45年2月頃、共同して、原告に無断で第一設計図と同一の図面を複製した図面を作成したものであるから、第一設計図を複製したものというべきである。
そこで、被告らの抗弁について、検討するのに、被告らは、第一設計図の複製図面は被告らにおいて、自社用資料として、使用する目的のものであつたから、その複製については、原告の許諾を得る必要がない旨主張する。ところで、著作権法第30条によれば、著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とする場合には、その使用する者が複製することができる旨が規定されているが、企業その他の団体において、内部的に業務上利用するために著作物を複製する行為は、その目的が個人的な使用にあるとはいえず、かつ家庭内に準ずる限られた範囲内における使用にあるとはいえないから、同条所定の私的使用には該当しないと解するのが相当である。
しかして、本件においては、すでに判示したところからすれば、被告らは、会社における内部的利用のために第一設計図の複製をしたことが明らかであつて、その複製行為は、同法第30条所定の私的使用には該当しないから、原告の許諾を得る必要がないということはできない。したがつて、被告らの抗弁は、理由がない。