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著作権判例セレクション

【言語著作物】選挙の公約文の著作物性を認めた事例

平成29102日東京地方裁判所[平成29()21232]
1 争点1(著作権又は著作者人格権の侵害が明らかであるか)について
(1) 本件文書は,総極真の代表選挙における原告の公約文であり,被告は,本件文書を構成する個々の表現は,公約としてありふれた表現であるとして,著作物性を争う旨主張する。
しかしながら,もとより,選挙公約には様々な内容のものがあり得るところ,別紙著作物目録のとおり,本件文書には,総極真の代表選挙における原告の19個もの公約や信条に係る記載があり,全体として40以上の文章からなるまとまりのある文書であると認められるから,その内容や記載順序等において,原告の個性が表出されていると認められる。
したがって,本件文書は,原告の思想又は感情を創作的に表現したものであると認められ,言語の著作物(著作権法10条1項1号)として著作物性を有し,原告は,その作成者として,その著作権を有するものと認められる。
(2) また,前記前提事実等のとおり,本件各記事は,末尾の部分を除いて40以上の文章からなる本件文書と同一であるから,氏名不詳者において,本件文書を分割して転載したものであると認められ,被告の提供するインターネット接続サービスを経由して本件掲示板に投稿されたことによって,公衆の求めに応じて自動的に公衆送信が行われる状態におかれている。
したがって,少なくとも,原告が有する本件文書の著作権(送信可能化権)が侵害されたことは明らかであると認められる。