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著作権判例セレクション

【登録制度】著作権の原始取得と登録の要否(旧法事例)

▶昭和450303日大分地方裁判所[昭和41()507]
検証および原告代表者本人尋問の各結果によると、原告が昭和23年、訴外Aが作詩し、同Bが作曲し、同Cが編曲して成立した流行歌「阿蘇の恋唄」を右訴外人らの承諾を得て訴外Dの歌唱、同太洋オーケストラの演奏により録音物に写調したこと、そのころ原告は右録音物を複製して七八回転盤レコードを2,000枚製作し、その音盤中心部に原告が流行歌「阿蘇の恋唄」の著作者であることを示す太洋、TAIYOなる文字を印刷したレツテルを貼付したこと、原告は右レコードを阿蘇地方を中心に発売したことが認められ、これを左右するに足りる証拠はない。 そうすると、原告は流行歌「阿蘇の恋唄」を録音物に適法に写調したものであるから右曲の録音物著作権を原始的に取得したことになる。右著作権は著作財産権のみならず著作人格権をも包含するものであることは権利の性質上明らかであり又原告が右権利を原始的に取得したものなる以上、登録をもつて第三者対抗要件とする承継取得の場合と異り登録なくして第三者に対抗しうるものと解すべきである。