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著作権判例セレクション
【著作権の制限】出所の明示(48条の意義と解釈)
▶昭和51年05月19日東京高等裁判所[昭和47(ネ)2816]
思うに、右規定が出所の明示を他人の著作物の自由利用の要件としたのは前示のように著作権者の保護を旨としたものと解されるが、その出所の明示については、利用される原著作物に表示されている著作者名を表示すれば足り、もしその著作物が無名のものである場合には著作者名を調査してまで表示する必要はないと解するのが相当である(現著作権法第48条第2項参照)。けだし、著作者は、その著作物の原作品又は複製品に著作者名を表示する権利のほか、表示しないこととする権利(無名で発行する権利)を有すること(旧著作権法第5条、現著作権法第19条第1項参照)に鑑みると、無名の著作物はその著作者において氏名を表示してないこととする権利を行使したものと考えられるところ、さような場合に、その著作物の利用上著作者名を表示することは、著作者の保護につながらず、また、その必要もないからである。…