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著作権判例セレクション

【写真著作物】自身の両脚を撮影した写真の著作物性を認めた事例

平成31228日東京地方裁判所[平成30()19731]
事案に鑑み,本件投稿による本件写真2に係る公衆送信権侵害の成否について判断する。
1 争点1(本件写真2の著作物性の有無)
写真は,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,シャッターチャンスの捕捉,被写体と光線との関係(順光,逆光,斜光等),陰影の付け方,色彩の配合,部分の強調・省略,背景等の諸要素を総合してなる一つの表現であり,そこに撮影者等の個性が何らかの形で表れていれば創作性が認められ,著作物に当たるというべきである。
これを本件についてみると,本件写真2は,別紙写真目録2記載のとおりであるところ,フローリング上にスリッパを履いて真っすぐに伸ばした状態の両脚とテーブルの一部を主たる被写体とし,大腿部の上方から足先に向けたアングルで,右斜め前方からの光を取り入れることで陰影を作り出すとともに脚の一部を白っぽく見せ,また,当該光線の白色と,テーブル,スリッパ及びショートパンツの白色とが組み合わさることで,脚全体が白っぽくきれいに映るように撮影されたカラー写真であり,被写体の選択・組合せ,被写体と光線との関係,陰影の付け方,色彩の配合等の総合的な表現において,撮影者の個性が表れているものといえる。
したがって,本件写真2は,創作的表現として,写真の著作物であると認められる。これに反する被告の主張は採用できない。