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著作権判例セレクション

【言語著作物】英国社製の水虫治療キットの商品説明文の著作物性を否定した事例

令和3818日東京地方裁判所[令和2()26567]
3 なお,原告が,本件商品の販売や宣伝に際し,原告説明文を使用したことは前記前提事実のとおりであるところ,以下のとおり,被告説明文に著作物性を認めることはできないから,原告が被告の著作権や著作者人格権を侵害したということはできない。
(1) 被告説明文の「ア」部分は,本件商品がドクターショール社の製品であることや,本件製品が従来製品よりも簡単かつ優しく治療できること,水虫菌の発生・発育を防止することなどを記載するものである。このような製品の出所,特性や効能については,その性質上,消費者が過大な期待を抱くことのないように,客観的な事実をできる限り正確かつ明確に説明することが求められており,思想又は感情を創作的に表現する幅は狭く,表現の選択肢は限られたものとなると考えられる。このため,上記「ア」部分の記載に創作性があるとは認められない。
(2) 被告説明文の「イ~エ」部分は,本件商品が適合する症状や,本件商品の使用方法,爪白癬(爪水虫)が生じる原因について記載したものである。これらについても,利用者が誤った場面や方法で本件商品を使用すること等を避けるために,前記ア同様,その性質上,客観的な事実をできる限り正確かつ明確に説明することが求められており,思想又は感情を創作的に表現する幅は狭く,表現の選択肢は限られたものとなると考えられる。このため,上記「イ~エ」25 部分の記載についても創作性があるとは認められない。
(3) 以上によれば,被告説明文には,全体として,著作物性は認められない。