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著作権判例セレクション

【公衆の定義】特定業務担当者の4人を「特定かつ少数」と認定した事例

平成190530日東京地方裁判所[平成17()24929]
ア 送信可能化権の侵害の有無
原告は,主位的に,上記において認定した,本件デジタルデータをサーバに保存した被告の行為が,本件デジタルデータを自動公衆送信し得るようにするものであり,本件交付ポジフィルム写真のうちの対象となったものの送信可能化権を侵害する旨主張するので,以下,検討する。
本件デジタルデータが保存されたサーバは,SVD[注:「小学館ビジュアル・データベースシステム」を意味する。]の準備作業を行っていた,被告の担当者4人のコンピュータ端末との関係においてサーバ機能を有するにすぎず,他の被告社員の個々のコンピュータ端末から閲覧することはできなかったのであって,上記担当者4人は,特定かつ少数であり,特定かつ多数の者を含む「公衆」(著作権法2条5項)には該当しないから,他の要件について検討するまでもなく,上記行為は,送信可能化には当たらず,これによる送信可能化権の侵害は認められない。