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著作権判例セレクション
【映画著作物の著作者】法16条の意義と解釈(原作漫画の存在しないアニメーション映画に使用される図柄は原著作物となりうるか)
▶平成18年12月27日東京地方裁判所[平成16(ワ)13725]
なお,原告は,本件原図柄と本件映画の関係について,著作権法16条本文において「その映画の著作物において翻案され,又は複製された小説,脚本,音楽その他の著作者」を除いているのは,既存の著作物の著作者をクラシカルオーサーとして映画の著作物とは別個の著作物の著作者として保護しようとするものであり,映画のために制作された著作物については,例外的に脚本及び映画音楽についてのみ,その著作者をクラシカルオーサーとして保護するとの趣旨であると理解し,それを前提に,原作漫画の存在しないアニメーション映画に使用されている図柄は,当該アニメーション映画の原著作物とはならない旨主張する。
しかしながら,著作権法16条前段の規定は,映画の著作物の著作権者を明らかにするとともに,当該映画の著作物において翻案され,又は複製された小説,脚本,音楽その他の著作物について,それが別個の著作物として観念できる場合には,映画の著作物とは異なる者が著作権者となり得る旨を示したものと解され,原作漫画の存在しないアニメーション映画に使用されている図柄であっても,アニメーション映画で翻案された既存の他の著作物と同様に,完成したアニメーション映画とは別個の著作物と観念できる場合には,当該アニメーション映画の原著作物となり得るというべきである。原告の上記主張は独自の見解であり,採用できない。