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著作権判例セレクション
【過失責任】「監修者」の不法行為責任
▶平成17年05月17日東京地方裁判所[平成15(ワ)12551]
一般に,監修とは,書籍の著述や編集を監督することといわれるが(広辞苑第5版),監修者としての関与の程度には,出版物の権威付けのために名義のみを貸すにすぎないものあるいは単に表現上の軽微な事項や内容的に不適切な点を指摘するものから,監修者自ら内容を検討し,相当部分について加筆補正するなど,監修者が著作物の実質的な内容変更を行うものまでさまざまな形態が考えられる。後者の場合のように,本来の著作者とともに共同著作者と評価され得る程度に関与している場合は,監修者も著作者とともに著作権侵害について共同不法行為による損害賠償責任を負う場合があるというべきであるが,監修者としての関与の程度が出版物の権威付けのために名義のみを貸すにすぎない場合又は単に表現上の軽微な事項や内容的に不適切な点を指摘するにすぎない場合は,特段の事情がない限り,共同不法行為責任を負わないというべきである。