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著作権判例セレクション
【重複する訴えの提起の禁止】民訴訟142条適用の可否
▶平成31年3月1日東京地方裁判所[平成30(ワ)11967]▶令和元年8月7日知的財産高等裁判所[平成31(ネ)10029]
(参照) 民事訴訟法142条(重複する訴えの提起の禁止):「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」
2 当審における控訴人の補充主張に対する判断
以下のとおり,控訴人の主張はいずれも採用することができない。
(1) 民訴法142条違反の主張について
民訴法142条によって二重起訴が禁止されるのは「事件」を同一とする場合であり,「事件」の同一性は,当事者及び訴訟物の同一性により判断される。
別訴の訴訟物は,控訴人の著作権等が侵害されたことを理由とする控訴人の損害賠償請求権である。これに対し,本件訴訟の訴訟物は,被控訴人の営業上の利益が侵害されたことを理由とする被控訴人の損害賠償請求権である。
このように訴訟物が異なるから,「事件」は同一でなく,本件訴訟の提起は民訴法142条に反しない。