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著作権判例セレクション

【データベースの著作物】ウェブサイトのデータベースの著作物性が問題となった事例

▶令和元年103日大阪地方裁判所[平成30()5427]▶令和21028日知的財産高等裁判所[令和1()10071]
[控訴審]
⑵ 争点1-2(原告制作ウェブサイトのデータベースの著作物性)について
ア 「データベースの著作物」は,「データベースでその情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するもの」をいい(著作権法12条の2),データベースをデータベースの著作物として保護するためには,情報の選択又は体系的構成について選択の幅が存在し,その情報の選択又は体系的な構成について作成者の思想又は感情が創作的に表現され,その作成者の個性が表れていることが必要であると解される。
イ 控訴人は,①「risekabu_db」の「rise_t_contact_history」テーブルに,既存の顧客の個人情報とは別にインターネット経由で新規の問合せや予約などをしてきたいわゆる見込み客に相当するユーザーの個人情報を蔵置していること,②「risekabu_renew」の「wpstg1_better_user_search_meta_keys」テーブルにおける「birthday」,「class」,「first_name」,「last_name」及び「School_offices」をインデックス化することでこれら5つでも検索ができるようにしたこと,③「risekabu_wp1」の「wp_users」テーブルにロックをかけ,テーブルに記録されている著作者である控訴人の氏名を第三者によって書き換えられないようにしたこと,④「risekabu_xoops2」に,文字化けに対処するための「test」テーブルを加えるなどして文字化けの変換を行えるようにしたこと,⑤第三正規化まで実施したことは,控訴人の創意工夫によるものであるから,本件データベースは,データべースの著作物に該当する旨主張する。
しかしながら,①については,単に既存顧客と見込み客の情報を保存するテーブルを別にしたというだけではテーブル間構造としてはありふれたものにすぎず,体系的な構成に創作性を認めることはできない。
②については,控訴人の主張する5つの属性を非クラスタ化インデックスとしていることについての具体的な主張立証がされていない。
③及び④については,テーブルに記録されている情報を書き換えられないようにすることや文字化けに対処するような措置をとることは,情報の選択又は体系的構成における創意工夫とはいえない。
⑤については,正規化はプログラムにより機械的にも行い得るところ,控訴人は自らがどのような正規化を行ったかを具体的に明らかにしておらず,情報の選択又は体系的構成について控訴人がした創意工夫がどのようなものか不明である。
したがって,控訴人の上記主張は,採用することはできない。
他に本件データベースにおける情報の選択又は体系的構成に控訴人の思想又は感情が創作的に表現され,控訴人の個性が表れていることを認めるに足りる証拠はない。
ウ 以上によれば,本件データベースがデータベースの著作物に該当することを認めることはできない。