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著作権判例セレクション

【美術著作物】「ミウラ折り」を応用した照明用シェードの著作物性を認めた事例

令和2129日東京地方裁判所[平成30()30795]
1 争点1(原告作品の著作物性)について
原告作品は,照明用シェードであり,実用目的に供される美的創作物(いわゆる応用美術)であるところ,被告らはその著作物性を争うが,同作品は後記記載のとおり,内部に光源を設置したフレームの複数の孔にミウラ折りの要素を取り入れて折ったエレメントの脚部を挿入し,その花弁状の頭部が立体的に重なり合うように外部に表れてフレームを覆うことにより,主軸の先端から多数の花柄が散出して,放射状に拡がって咲く様子を人工物で表現しようとしたものであり,頭部の花弁状部が重なり合うことなどにより,複雑な陰影を作り出し,看者に本物の植物と同様の自然で美しいフォルムを感得させるものである。このように,原告作品は,美術工芸品に匹敵する高い創作性を有し,その全体が美的鑑賞の対象となる美的特性を備えているものであって,美術の著作物に該当するものというべきである。