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著作権判例セレクション

【渉外関係】日本人が米国内で製作した映画についての準拠法

▶平成25325日東京地方裁判所[平成24()4766]▶平成250910知的財産高等裁判所[平成25()10039]
1 準拠法
前記前提事実のとおり,本件映画は米国内で製作されたものであるが,日本国民である原告の著作物であるから,我が国の著作権法による保護を受ける(著作権法6条1号)。また,我が国は文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(以下「ベルヌ条約」という。)の同盟国であるところ,著作権を保護するための救済方法の準拠法に関しては,ベルヌ条約5条(2)により,保護が要求される同盟国の法令の定めるところによるべきとされるから,日本国内における利用行為の差止請求等の準拠法は「保護が要求される国」である我が国の法律である。さらに,著作権侵害を理由とする損害賠償請求及び謝罪広告請求の法的性質は不法行為であり,法の適用に関する通則法17条により準拠法を決定するべきであるところ,本件において,同条にいう「加害行為の結果が発生した地」は日本国内であると認められるから,我が国の法律がその準拠法となる。
なお,ベルヌ条約14条の2(2)(a)によれば,映画の著作物について著作権を有する者を決定することは,保護が要求される同盟国の法令の定めるところによるとされるから,本件映画の著作権の帰属に関しても,我が国の著作権法により判断するべきこととなる。
[控訴審同旨]