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著作権判例セレクション
【氏名表示権】ドキュメンタリー映画への資料映像の使用につき、氏名表示権及び上映権侵害を認定した事例
▶平成30年2月21日東京地方裁判所[平成28(ワ)37339]▶平成30年8月23日知的財産高等裁判所[平成30(ネ)10023]
(注) 本訴事件は,別紙記載の各映像(「本件各映像」)の著作者及び著作権者である原告が,被告が原告の許諾なく本件各映像を使用して製作した別紙記載の映画(「本件映画」)につき,⑴被告が本件映画を上映する行為は本件各映像につき原告が有する上映権(著作権法22条)を侵害する,⑵被告が本件映画を記録したDVDを販売する行為は本件各映像につき原告が有する頒布権(著作権法26条1項)を侵害する,⑶被告が本件映画の上映に際して原告の名称を表示しなかったことは本件各映像につき原告が有する氏名表示権(著作権10 法19条1項)を侵害する,⑷本件映像2のうちの未公表部分(「本件部分」)は,公表されていない著作物であったから,被告が本件部分の映像を使用した本件映画を上映したことは,本件部分につき原告が有する公表権(著作権法18条1項)を侵害するなどと主張して,被告に対し,⑴著作権法112条1項に基づき(本件各映像が映画の著作物であることを前提に,著作権〔上映権,公衆送信権及び頒布権(著作権法22条の2,23条及び26条)〕又は著作者人格権〔氏名表示権(同法19条)〕の侵害又はそのおそれを主張する趣旨と解される。),本件各映像を含む本件映画の上映,公衆送信及び送信可能化並びに本件映画の複製物の頒布の差止めを求め,⑵同条2項に基づき,本件映画を記録した媒体及び本件各映像を記録した媒体からの本件各映像の削除を求め,⑶著作権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき,損害賠償金等の支払を求め,⑷著作者人格権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき,損害賠償金等の支払を求め,⑸著作権法115条に基づき,謝罪広告を掲載するよう求めた事案である。
(前提事実)
本件各映像は,平成16年8月13日,沖縄国際大学に米軍ヘリコプターが墜落した事故(「沖国大ヘリ墜落事故」)の後,その墜落現場の状況等を撮影した映像であり,原告[注:テレビ番組,スポット販売,各種事業を業とする株式会社]の従業員が,原告の発意に基づき職務上撮影し,原告の名義の下に公表することを予定して作成した映像(動画及び音声)である。被告は,本件各映像が著作物としての創作性を有すること並びに本件各映像の著作者及び著作権者が原告であることを争っていない。
被告[注:映画の製作及び配給を業とする株式会社]は,平成27年頃,「沖縄 うりずんの雨」と題する本編148分のドキュメンタリー映画である本件映画を製作し,同年6月20日から,全国各地の映画館において上映した。また,被告は,今後,本件映画を収録したDVDを販売し,また,本件映画に字幕を付した海外版を作成してこれを上映しようとしている。本件映画は,プロローグ,第1部,第2部及び第3部からなり,冒頭からの再生時間2分25秒から2分32秒までの間に本件映像1が,同3分27秒から3分43秒までの間に本件映像2が,同3分48秒から3分51秒までの間に本件映像3が,同3分43秒から3分48秒までの間に本件映像4が,それぞれ使用されている(以下,本件映画中の本件各映像が使用されている部分を併せて「本件使用部分」という。)。
本件映画には,本件使用部分及びエンドクレジットを含め,原告の名称は表示されていない。
1 認定事実
前記前提事実,各項目末尾掲記の証拠等及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(略)
2 争点1(差止め及び削除を求める請求は特定されているか)について
被告は,本訴請求のうち本件映画の公衆送信及び送信可能化並びに本件映画の複製物の頒布の差止めを求める部分について,抽象的差止めを求めるものとして不適法であるとするが,原告は,本件映画という具体的な著作物の公衆送信行為及び送信可能化行為並びにその複製物の頒布行為の差止めを求めているのであり,請求の特定に欠けるところはない。
また,被告は,本訴請求のうち本件各映像の削除を求める部分について,広範にすぎる請求として不適法であるとするが,本件各映像という具体的な映像の削除を求めているのであり,請求の特定に欠けるところはない。
したがって,本訴請求のうち上記各部分は,いずれも適法である。
3 争点2(本件部分は「まだ公表されていないもの」〔著作権法18条〕に当たるか)について
原告は,本件部分が未公表であり,被告が本件部分を原告に無断で公表したことは,公表権の侵害に当たると主張する。
しかし,被告が本件部分が未公表であるとの事実を争っているにもかかわらず,原告は,本件各映像の一部を使用した報道番組「検証
動かぬ基地」の映像を証拠として提出するにとどまり,公表されていない部分として本件部分を特定した経緯や,本件各映像が使用されている他の映像等において本件部分が使用されていないことなどを具体的に主張立証していないのであって,本件全証拠及び弁論の全趣旨を総合しても,本件部分が未公表であると認めるには至らない。
したがって,公表権の侵害を理由とする原告の請求には理由がない。
4 争点3(本件映画に原告の名称を表示していないことは,「その著作物につきすでに著作者が表示しているところに従って」〔著作権法19条2項〕されたものといえるか)について
被告は,本件各映像を本件映画に使用するに際し,原告の名称を表示しないことは,「すでに著作者が表示しているところ」に従ってしたものであり,著作権法19条2項により許容されると主張する。
しかし,著作権法19条2項は,「著作物を利用する者は,…その著作物につきすでに著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示することができる。」と規定し,著作者名を表示する場合に,その表示として,既に著作者が表示した名称等を用いることを許容するにすぎず,同条3項において著作者名の表示を省略できる場合が規定されていることからしても,著作者名を表示しないことを正当化する規定ではないと解される。
したがって,被告の主張は失当であり,被告が本件各映像を使用するに際して原告の名称を表示しなかったことは,本件各映像につき原告が有する氏名表示権を侵害する行為である。
5 争点4(著作権の行使に対する引用〔著作権法32条1項〕の抗弁は成立するか)について
(略)
6 争点5(原告による著作権及び著作者人格権の行使は,権利の濫用に当たり許されないか)について
被告は,本件映画と本件各映像との関係及び本件訴訟における原告の訴訟追行態度等に照らし,原告が本件各映像の著作権及び著作者人格権を行使することは,権利の濫用として許されないと主張する。
しかし,原告による著作権の行使が著作権法32条1項により妨げられるものでないことは上記5のとおりであるし(なお,同条項は,著作者人格権の行使を妨げる理由とはならない〔同法50条〕。),前記認定事実によれば,被告は,本件映画に本件各映像が使用されていることを原告が覚知した後の交渉において,同使用はフェアユースに当たり,映像を提供しない合理的な理由を原告が説明すべきであるとの立場を取っていたところ,これと見解を異にする原告が訴訟を提起することは,正当な権利の行使であって,本訴を那覇地方裁判所(【民訴法5条1号及び9号】により管轄が認められることが明らかである。)に提起したとしても,これが権利の濫用となる理由はないというべきである。その他,本件訴訟における原告の訴訟追行態度を総合しても,原告による著作権及び著作者人格権の行使が権利の濫用に当たると評価することはできない。
したがって,被告の上記主張は採用することができない。
7 争点6(原告が受けた損害の額)について
⑴ 以上に認定説示したところによれば,被告が,本件各映像(前記前提事実及び前記認定事実によれば,これらは,「映画」の範疇にあるか,少なくとも著作権法2条3項にいう「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され,かつ,物に固定されている著作物」に含まれるといえ,同法10条1項7号所定の「映画の著作物」に当たる。)を含む本件映画を上映したことは,本件各映像につき原告が有する上映権を侵害する行為であり,また,原告の名称を表記しないで同上映を行ったことは,本件各映像につき原告が有する氏名表示権を侵害する行為であるところ,既に認定説示したところによれば,被告には,これらの侵害行為につき故意又は少なくとも過失が認められるから,被告は,これらにより原告が受けた損害を賠償する責任を免れない。
⑵ 上映権の侵害による損害
ア 前記認定事実によれば,原告の報道制作局報道部は,ANN協定系列外の者に映像を使用させる際の使用料として,1秒につき3000円(消費税別)と定めているのであるから,本件各映像の著作権の行使につき受けるべき金銭の額(著作権法114条3項)は,1秒につき,3000円に消費税率8パーセントを付加した3240円を下らないものと認められる。
したがって,原告が受けた損害の額は,少なくとも,本件映像1(8秒)につき2万5920円,本件映像2(17秒)につき5万5080円,本件映像3(3秒)につき9720円,本件映像4(6秒)につき1万9440円を下らないものと認められるところ,これらの金額を合計すると,11万0160円となる。
イ また,被告による上映権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用として,本件各映像1件につき5万円として,合計20万円を認めるのが相当である。
⑶ 氏名表示権の侵害による損害
本件における主張及び証拠関係から推察される本件映画の上映規模等に照らすと,被告による氏名表示権の侵害行為により原告が受けた損害の額は,本件各映像1件につき5万円として,合計20万円を認めるのが相当である。
8 争点7(差止め,本件各映像の削除及び謝罪広告の掲載の各必要性が認められるか)について
⑴ 既に認定説示したとおり,被告による本件映画の上映は,本件各映像につき原告が有する上映権及び氏名表示権をそれぞれ侵害するものであることに加え,前記前提事実によれば,被告は,今後,本件映画を収録したDVDを販売し(同行為は,本件各映像につき原告が有する頒布権及び氏名表示権を侵害するものである。),また,本件映画に字幕を付した海外版を作成してこれを上映しようとしているのであるから,著作権法112条1項に基づき,被告による本件映画の上映及びその複製物の頒布を差し止める必要がある。また,被告が本件訴訟において本件映画を配信できなかったことによる逸失利益を主張していることからすれば,本件映画を公衆送信又は送信可能化する行為(同行為は,本件各映像につき原告が有する公衆送信権及び氏名表示権を侵害するものである。)についても,差し止めることが必要と認められる。
⑵ 次に,既に認定説示したところによれば,本件映画は,上映権侵害及び氏名表示権侵害について侵害の行為を組成した物といえるから,著作権法112条2項に基づき,本件映画のうち,本件各映像に対応する部分を削除させる必要がある。
また,被告が記録媒体に記録している本件各映像は,専ら侵害の行為に供された物といえるから,同様にこれを削除させる必要がある。
⑶ 原告は,被告による本件各映像の無断利用行為が重大な違法行為であることを示すために,名誉回復措置として,謝罪広告が必須であると主張するが,原告の主張に係る「損なわれた信頼」とは,本件映画の上映に接した(提供ないし提示を受けた)公衆ではなく,「原告から正式に許諾を受けて映像を利用している者やニュースネットワーク関係会社」からの信頼であって,かかる信頼は,本件映画の上映(公衆への提供ないし提示)が原告の名称を表示することなくされたことより損なわれる性質のものとは認め難い。加えて,本件における主張及び証拠関係から推察される本件映画の上映規模に照らすと,本判決において氏名表示権の侵害が認定されて損害賠償請求が認容され,また,テレビ局である原告が本件訴訟の結果を報道するなどして,その名誉を相応に回復することができるものとうかがわれるから,本件において,損害賠償とともに,謝罪広告の掲載を命ずることが必要とは認められない。
(以下略)
[控訴審]
1 当裁判所も,本訴請求については,原判決が認容した限度で認容し,その余をいずれも棄却し,反訴請求については,その請求を全部棄却するのが相当であると判断する。
(略)
3 当審における控訴人の主張について
控訴理由に鑑み,必要な限度で判断を加える。
(1) 差止請求等の特定について(争点1関係)
控訴人の主張は,要するに,本訴請求のうち,「差止め及び削除を求める請求」の特定が不十分であるというものである。
よって検討するに,本件差止請求(原判決主文第1項に相当)は,被控訴人の著作物である原判決別紙1著作物目録記載1ないし4の各映像(本件各映像)を含んだ原判決別紙3映画目録記載の映画(本件映画)に関し,上映,公衆送信,送信可能化及び複製物の頒布の禁止を求める,というものであり,各別紙において,被侵害著作物である本件各映像や差止めの対象となる本件映画についてもそれぞれ具体的に特定されている。
また,本件削除請求(原判決主文第2項に相当)は,原判決別紙3映画目録記載の映画(本件映画)を記録した媒体から,被控訴人の著作物である原判決別紙1著作物目録1ないし4の各映像(本件各映像)の削除を求める,というものであり,各別紙において,本件各映像や本件映画が具体的に特定されていると認められることは,上記のとおりである。
そして,上記の程度に特定がなされていれば,通常,執行対象の特定としては十分というべきであり,それ以上に,自動公衆送信装置や複製物,あるいは,本件映画の記録媒体の特定まで要するものとは解されない。
また,控訴人は,被侵害著作物である本件各映像が著作権法上の映画の著作物か,それとも素材としての未編集著作物か,という点を問題にするが,いずれにしても本件各映像の特定自体には問題がないといえるから,請求の特定という観点からは失当である。
以上によれば,請求の特定に関する控訴人の主張は採用できない。
(2) 著作者名の表示について(争点3関係)
ア 控訴人は,氏名の不表示は当該著作物を無名のままにするという著作者の積極的な意思表示であり,著作権法19条2項の解釈としても,「無名の著作物については,その著作者において氏名を表示しないこととする権利を行使したものと考えられるから,その著作物を利用するに際しては…無名の著作物として利用すれば足りる。」と解されている(から,本件映画に被控訴人の名称を表示しなくても氏名表示権侵害は成立しない)と主張する。
しかしながら,本件においては,そもそも被控訴人が本件各映像を無名の著作物として公表することを選択した事実,すなわち,本件各映像について著作者名を表示しないこととする権利を積極的に行使した事実を認めるに足る証拠はない。
したがって,本件各映像が無名の著作物であるとの前提自体が失当であるから,その余の点について判断するまでもなく,控訴人の主張は採用できない。
イ 当審における仮定的主張について
また,控訴人は,当審における仮定的主張として,著作権法19条3項は,「著作者名の表示は,著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは,公正な慣行に反しない限り,省略することができる。」と規定するところ,控訴人は「公正な慣行」に従って著作者(著作権者)としての被控訴人名の表示を省略せざるを得なかったのであるから,その行為は同項の要件を全て充足する,などと主張する。
しかしながら,そもそも,本件各映像に係る著作者名の表示を省略することについて,著作権法19条3項が規定する「著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるとき」の要件を満たすものとは認められないし(その具体的主張立証もない。),「公正な慣行」に従って著作者(著作権者)としての被控訴人名の表示を省略せざるを得なかったとの前提自体が失当であることは,後記(3)のとおりである。
したがって,控訴人の上記主張も採用できない。
(3) 引用の抗弁について(争点4関係)
(略)
(4) 権利濫用について(争点5関係)
ア 控訴人は,①控訴人は被控訴人に対し,本件各映像の本件映画への利用許諾を一貫して真摯に求め続け,被控訴人の要求に応じて謝罪し,適切な映像対価を支払う意思を表明した上で,被控訴人提示の諸条件については合理的な理由を示して再考を求めたのであり,客観的には,本訴提起の直前の時点まで許諾条件の交渉が継続していたと評価できる,②これに対し,被控訴人の側が,控訴人に何ら連絡することなく一方的に交渉を打ち切り,本訴を提起した,③被控訴人は,本訴提起後も不許諾の理由を説明せず,自らの行為の正当性についても何ら立証しようとしなかった,などと本訴提起の前後にわたる事情を種々指摘して,被控訴人の本件各映像に係る著作権及び著作者人格権の行使を権利濫用と認めなかった原判決の認定判断は誤っていると主張する。
しかしながら,本件の事実経過は,原判決おいて認定するとおりであって,これによれば,①控訴人が被控訴人に対し本件各映像の利用許諾を申請したのは,本件映画の企画製作の開始(平成24年頃)から約3年後,本件映画の公開日(平成27年6月20日)の約4か月前(同年2月19日)に至ってからであって,申請の理由も「A監督・シグロ製作の当該ドキュメンタリー映画『OKINAWA(仮題)』は,沖縄戦後70年を迎える年に当たって,沖縄地上戦から現在までの沖縄の歴史,とりわけ沖縄米軍基地の存在による地域抑圧や性暴力の実態を,沖縄・アメリカの双方に取材してまとめた2時間30分(予定)の作品です。本年6月20日より,東京・岩波ホールと沖縄・桜坂劇場にて劇場公開を予定しています。」という概括的なものにとどまっていたこと,②控訴人が本件映画の公開前に被控訴人に対して本件各映像の利用許諾を申請したのは,上記の1回のみであって,しかも,被控訴人からその利用を許諾されなかったにもかかわらず,許諾がないままこれを利用して本件映画を完成し,その公開に踏み切っていること,③本件映画の公開後も,控訴人は,被控訴人側から説明を求められるまで,何ら無許諾で本件各映像を利用した理由を説明しておらず,事後の交渉においてもフェアユースを主張するなどして,必ずしも正面から権利侵害の事実(違法性)を認めていなかったこと等の事情が認められる。
これらの事情を総合すれば,本件映画の公開の前後を通じて,控訴人が本件各映像の利用許諾につき被控訴人との間で真摯な交渉を継続していたなどと評価できないことは明らかである。控訴人が主張する前記①②の点は,事の真相を正しく反映したものとはいえず,権利濫用を基礎付ける根拠ないし事情としては採用できない。
また,控訴人が主張する前記③の点についても,本訴提起後の被控訴人の訴訟追行ないし訴訟態度に,その権利行使を権利濫用とすべき特段の事情があるものとは認められない。
したがって,当事者間の交渉経過等を踏まえた権利濫用の主張は理由がない。
イ 控訴人は,引用の抗弁の成否に関して総合的に考慮すべき事情は,権利濫用の成否の判断について考慮すべき事情にも合致するはずであるが,原判決はこの点について基準に即した総合的考慮を何ら行っていないのであるから,引用に該当しないという理由で権利濫用に当たらないという結論を導くことはできない,などとも主張する。
しかしながら,そもそも控訴人が主張する引用の抗弁が成立しないこと,この点に関する原判決の認定判断に誤りがないことは,いずれも前記(3)のとおりである。
したがって,引用の抗弁に関する主張を踏まえた権利濫用の主張もまた理由がない。
ウ 以上によれば,本件においては,被控訴人の控訴人に対する本件各映像に係る著作権及び著作者人格権の行使が権利濫用に当たると評価することはできず,これに反する控訴人の主張は採用できない。
(略)
第4 結論
以上のとおり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。