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著作権判例セレクション

【最高裁判例】映画著作物の独占的ビデオ化権者が著作権侵害罪の告訴権を有するとした事例/侵害とみなす行為に著作権侵害罪が適用されるとした事例

平成744日最高裁判所第三小法廷[平成6()582]
二 なお、所論にかんがみ、職権により判断する。
1 映画著作物の著作権者から著作権の一部譲渡を受けたのではなく(著作権法611項参照)、独占的にビデオグラムの形態により複製・頒布・上映することを許諾されたいわゆる独占的ビデオ化権者であっても(同法631項参照)、著作権者の許諾を得ていない者によって当該映画著作物がビデオ化され、著作権が侵害された場合には、刑訴法230条にいう「犯罪により害を被った者」に当たり[注:刑事訴訟法230条は「犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。」と規定する。]、告訴権を有すると解するのが相当である(最高裁昭和451222日第三小法廷判決参照)。したがって、株式会社Bによる本件告訴が有効であるとした原判断は、結論において正当である。
2 著作権法11312号にいう「著作権を侵害する行為によって作成された物を情を知って頒布する行為」が同法1191[注:現119条1項]にいう著作権の侵害に当たるとした原判断は、正当である。