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著作権判例セレクション

シミュレーションゲームソフトの著作物性

▶平成11427日大阪高等裁判所[平成9()3587]
5 本件ゲームソフトの著作物性
(一) 右のように、本件ゲームソフトはプログラムとデータとからなるもので、シミュレーションゲームに不可欠な影像や音声はすべてデータとして保存されている。
ところで、著作権法1017号にいう「映画の著作物」には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含む(同法23項)とされているから、本件ゲームソフトが再生機器を用いてモニターに各場面に応じて(連続的ではないとしても)変化する影像を映し出し、登場人物が当該場面に相応しい台詞を述べて一定のストーリーを展開している点で、本件ゲームソフトは右にいう「映画の著作物」に該当するものということができる(本件ゲームソフトのプログラムとデータがすべてCDーROMに保存されモニターを通じて再生される以上、「物に固定されている」との要件を欠くものではない。)。
また、本件ゲームソフトのプログラムはコンピュータに対する指令を組合わせたものとして表現したものを含むものと認められるから、同法1019号にいう「プログラムの著作物」にも該当する。
そして、本件ゲームソフトにおいては、データに保存された影像や音声をプログラムによって読み取り再生した上、プレイヤーの主体的な参加によって初めてゲームの進行が図られる点で、「映画の著作物」と「プログラムの著作物」とが単に併存しているにすぎないものではなく、両者が相関連して「ゲーム映像」とでもいうべき複合的な性格の著作物を形成しているものと認めるのが相当である。