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著作権判例セレクション
【著作者の推定】
周知の変名だとして著作者の推定を認定した事例
▶令和元年9月4日東京地方裁判所[令和1(ワ)11739]
1 争点1(原告が本件作品の著作者であるか否か)について
前記前提事実,証拠及び弁論の全趣旨によれば,映画の著作物である本件作品のDVDのパッケージの裏面左下隅には「DEEP’S」の文字がそのロゴと共に表示され,その下に「制作・著作・受審/ディープス」と表示されていること,上記パッケージの画像は,原告が本件作品をダウンロードやストリーミング配信の方法で販売するウェブページにおいても表示されていること,「ディープス」は旧商号かつ登録商標であるが,原告は,これをレーベル名として用いてアダルトビデオ作品を全国的に流通・販売しており,AV業界ではそのことが広く知られていることが認められる。
被告は,「ディープス」が著作者名として表示されているとはいえないと主張するが,上記認定事実によれば,著作物である本件作品が公衆に提供又は提示される際に,原告の変名として周知の「ディープス」が著作者名として通常の方法により表示されているということができるので,原告は,本件作品の著作者と推定され,その推定を覆すに足りる証拠は存在しない。