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著作権判例セレクション

発信者情報開示命令の申立てについての管轄権の有無が争点となった事例

▶令和523日東京地方裁判所[令和4()19527]
1 争点1(本件訴えの管轄が東京地方裁判所にあるといえるか)について
前記前提事実のとおり、被告は、Instagramサービスを管理・運営する会社であって、日本に居住している利用者に対し、日本語でInstagramサービスを提供している。したがって、被告は、日本において継続的に事業を行っていると認められ、民訴法3条の3第5号の「日本において事業を行う者」に該当する。
また、日本から本件アカウントにアクセスし、本件投稿画像を閲覧することが可能であることからすると、本件訴えは、民訴法3条の3第5号の被告の「日本における業務に関するもの」に該当する。
さらに、被告の主たる事務所はアメリカ合衆国に所在する一方で、本件記録を精査しても、被告が日本国内に主たる事務所又は営業所を有するとはうかがわれず、また、日本における代表者その他の主たる業務担当者がいるともうかがわれないから、民訴法4条5項により被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所が定まらず、民訴法10条の2に規定する「この法律の他の規定又は他の法令の規定により管轄裁判所が定まらないとき」に該当し、民訴規則6条の2により、東京都千代田区を管轄する東京地方裁判所に管轄があるというべきである。
よって、当裁判所は、本件訴えについて管轄を有する。