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著作権判例セレクション

【著作権の制限】41条の適用を否定した事例

▶令和5228日東京地方裁判所[令和4()15136]
3 争点1-3(著作権法41条の適用の有無)について
⑴ 被告は、本件投稿画像につき、医療関係者の男性が患者の麻酔中に当該患者の下を離れて外出している様子を収めたものであり、その様子を投稿することは、医療現場の実態や、医療事故につながりかねない様子を捉えたものとしてニュース性があるから、「時事の事件」を構成するものである旨主張する。
しかしながら、前記前提事実、証拠及び弁論の全趣旨によれば、本件投稿画像は、ある男性が住宅地の道路上を走っている画像に、「麻酔待ちの間にご近所に菓子折り渡しに走ってる。田舎過ぎて。笑」というテロップが付されるにとどまり、いつの出来事であるかどうか一切明らかではなく、しかも、本件投稿画像は、Googleマップという地図アプリにおいて、本件歯科医院の上にカーソルを動かし、クリックした場合に表示されるものにすぎないものであることが認められる。
上記認定事実によれば、本件投稿画像で表示された出来事は、これが生じた時期すら明らかではなく、地図アプリにおいて本件歯科医院の上にカーソルを動かし、クリックした場合に限り表示されるにすぎないことが認められる。
そうすると、本件投稿画像の出来事は、著作権法41条にいう「時事の事件」とはいえず、その投稿も、上記認定に係る表示態様に照らし、同条にいう「報道」というに足りないものと認めるが相当である。
これに対し、被告は、本件投稿画像で表示された出来事が医療現場の実態や、医療事故につながりかねない様子をとらえたものである旨主張するものの、一般の利用者の普通の注意と読み方とを基準として判断すれば、「麻酔待ちの間5 にご近所に菓子折り渡しに走ってる。田舎過ぎて。笑」というテロップの内容及び上記認定に係る本件投稿画像の内容を踏まえると、本件投稿画像は、医療現場の実態や、医療事故につながりかねない様子であると理解されるものと認めることはできず、上記各内容に照らしても、被告が主張するようなニュース性を認めることもできない。したがって、被告の主張は、その前提を欠くものであり、いずれも採用することができない。