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著作権判例セレクション

 【写真著作物】夜景の画像の写真著作物性及び侵害性を認めた事例

平成31417日東京地方裁判所[平成31()2413]
1 証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件各画像は,いずれも(省略)から眺望した夜景を撮影したものであるが,本件画像1は,長時間露光によって街明かりを写し込み,絞り込むことで手前の街明かりから遠くの街明かりまでピントが合うようにするなどして撮影されたものであること,本件画像2は,シャッターを8秒間開け,被写体のカップルが止まった状態できれいに写るようにタイミングを見計らってシャッターを切るなどして撮影されたものであることが認められる。このように,本件各画像は,絞りやシャッターチャンスの捕捉,構図やアングルなどを工夫して撮影されたものであるから,写真の著作物であると認められる。
また,原告が運営する「夜景INFO」という名称のウェブサイト(以下「原告ウェブサイト」という。)に掲載された本件各画像の右下には「Copyright(c)Night View Photographer X」と記載された著作権表示がされ,原告の姓と名のイニシャルにおいて一致していることや,原告が本件各写真のデータを所持していることからすれば,原告が本件各画像を撮影した著作者であり,その著作権を有する者と認められる。
したがって,請求原因(4)は認められる。
2 証拠によれば,本件発信者が本件ブログページに掲載した画像と本件各画像は,被写体や撮影方向等が同じであり,右下に「Copyright(c)Night View Photographer X」の表示があることも共通しているから,同一のものと認められ,請求原因(2)が認められる。
そして,本件発信者による本件各写真の画像データの入手先は原告ウェブサイト以外に考え難いことからすれば,本件発信者は,原告ウェブサイトから本件各写真の画像ファイルを複製した上,本件ブログページに掲載(アップロード)して,上記画像ファイルを送信可能化したものと認められる。そうすると,原告は,本件発信者に対し,著作権(複製権,送信可能化権)侵害を理由とする損害賠償請求権を有するところ,原告が本件発信者に対してその権利を行使するためには,本件発信者情報の開示が必要である。