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著作権判例セレクション

実演家の人格的利益

▶昭和531108日東京地方裁判所[昭和51()7651]
() 本件は、「実演家人格権」(90条の290条の3)が法制化させる以前の事案だが、実演家の(一般的)人格権的利益について参考になる箇所を含んでいる。

もとより、直接的には財産権の侵害に向けられた行為であつても、その侵害の態様及び程度いかんによつては、同時に被害者の名誉をも毀損し、これに対して精神的苦痛を与える場合がありうることは、容易に想定しうるところであり、このような場合には被害者において人格権侵害に基づく責任を追及しうることはいうまでもない。たしかに、著作権法には実演家としての人格権的利益を保護すべき旨の特別規定は存しないけれども、実演家であるが故に、本来一般人として享受しうべき不法行為法による人格権の保護をも否定されなければならない合理的根拠は全く見出しえない。