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著作権判例セレクション
【写真著作物】自宅で仕事をしているかのような犬の写真の著作物性及び侵害性を認定した事例
▶令和3年7月20日東京地方裁判所[令和3(ワ)7035]
1 争点1-1(本件写真の著作物性の有無)について
前提事実,証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件写真は,原告が,犬が自宅で仕事をしているかのような印象を与えるために,パソコンのディスプレイ,キーボード,マウス,ライト等を配置したデスク及その背景に英語が記載されたポスターを掲示した自宅内において,服を着せた犬をディスプレイやポスターに対面して座らせ,これらの組合せを被写体として選択し,中でも,犬の背中を構図のほぼ中心に添え,カメラアングル等にも意を用い,適切なシャッターチャンスを捉えて撮影したことが認められる。
そうすると,原告が撮影した本件写真は,撮影場所の選択,被写体の選択及び配置,構図,カメラのアングルの設定,シャッターチャンスの捕捉等の点において,撮影した原告の個性が現れているものと認められ,著作物性が認められる。
そして,原告は,このような本件写真を創作した者であって,その著作者である20 から,本件写真の著作権を有しているものといえる。
2 争点1-2(送信可能化権の侵害の有無)
前記1のとおり,原告は,本件写真の著作権を有し,その公衆送信権を有しているところ,原告のインスタグラム上にアップロードされていた本件写真が,氏名不詳者により,当該インスタグラムのページをスクリーンショット機能を用いて複製され,本件投稿記事1及び5において掲載されたものである。
このように,本件投稿記事1及び5により,本件写真がツイッター上のサーバに配置され,公衆が閲覧し得る状態に置かれたものであるから,本件写真に係る原告の送信可能化権が侵害されたことは明らかである。