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著作権判例セレクション
【共同著作】コンサートのポスターの著作物性及び共同著作物性を認定した事例
▶平成28年7月19日東京地方裁判所[平成27(ワ)28598]
(1)
前記のとおり,本件ポスターには,本件コンサートの開催日,時刻,場所,演奏者,曲目,入場方法,問合せ先などの情報が文字で記載されているほか,中央部には演奏者等の写真が大きく掲載されている。そして,このような本件ポスター全体の表現をみれば,たとえ同様の内容を含む表現であっても,その具体的表現には一定の選択の幅があるといえるから,本件ポスターを全体としてみると,創作的表現として著作物性が認められるというべきである。
(2)
そして,前記のとおり,本件ポスターの制作過程は,被告の総合企画部次長であったBにおいて,平成23年に使用するチラシ(原告Aの指示を受けつつ被告が作成したもの)を前提に,印刷会社の担当者と打合せを行ってポスターのレイアウトを完成させ,そこに写真やサブタイトルをはめ込んで,ポスター原案を完成させ,その後,被告は,ポスター原案を原告会社に送付して,同社がこれに若干の修正を加え,最終的に本件ポスターを完成させた,というものである。このような経緯に鑑みれば,本件ポスターの作成に当たって,被告側従業員の創作的寄与があったと認められる。
一方で,本件ポスターの作成に当たっては,原告Aが,同ポスター内の写真の配列や大きさ,奏者の体をどの範囲で載せるか(各写真のトリミングの範囲)に関して細かい指示を出していること等からすれば,本件ポスターの表現に関する原告Aの創作的寄与も認められる。
以上によれば,本件ポスターは,二人以上の者(被告側従業員と原告A)が共同して創作した著作物であり,著作権法2条1項12号所定の共同著作物に当たると認められる。