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著作権判例セレクション

【過失責任】 「1通の弁護士の意見書を得ていたからといって,過失を免れるものではない」と判示した事例

平成30920日大阪地方裁判所[平成27()2570]
被告は,本件振付けに著作物性があるという確たる認識を有していなかったことを根拠に,本件振付けに係る著作権侵害行為に過失はあったとはいえないと主張し,実際にも,被告は,平成26年10月の時点で,弁護士から,原告のフラダンスの振付けには原則として著作物性はないとの意見書を得ていたと認められる。しかし,被告において本部長を務めていたP3が,クムフラがフラダンス教室において指導することをやめた後にも当該クムフラの創作した振付けを演じることができるか否かということが問題となっていた事例を聞き及んでおり,上記のとおり被告は原告による振付けの著作物性についても問題意識を持っていたことからすると,舞踊の著作物が著作物の一つとして法文上明記される(著作権法10条1項3号)一方,フラダンスの振付けの著作物性を否定する確定判例もない中で,1通の弁護士の意見書を得ていたからといって,過失を免れるものではないというべきである。