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著作権判例セレクション
肖像写真の著作物性を認定した事例
▶平成15年02月26日東京地方裁判所[平成13(ワ)12339]▶平成16年11月29日東京高等裁判所[平成15(ネ)1464]
(注) 「原告写真1」は,壁に大きいゴブラン織りの絵画が掛けられた室内で,顔をほぼ正面に向け,体を約45度の角度で左に向け,スーツの上にローブ(「本件ローブ」)を着用し,式帽をかぶり,直立したDの姿が撮されたカラー写真である。
エ Cは,原告写真1を撮影するに当たり,Dを引き立たせる効果を考えて,撮影場所として,絵画や花瓶のある創価女子短期大学内の応接室を選択し,背景の装飾品として,ゴブラン織りの絵画を選択し,部屋の照明を消して,特別に用意したストロボの光源のみで撮影することとし,ストロボを置く角度,高さ,光量を考慮し,背景の壁など部屋の隅々の露光を計測,考慮して,シャッター速度,絞りを決めた。
また,Cは,本件ローブの全体像を写し出すこと,本件ローブ全体の格調の高さ及びDの品格を表現すること,本件ローブの腕の部分の刺繍が鮮明に写るようにすることなどを心掛けて,Dのポーズを決定した。
(2)
上記認定した事実によれば,Cは,原告写真1の撮影に当たり,スーツの上から本件ローブ及び式帽を着用したDを,背景,構図,照明,光量,絞り等に工夫を加えて撮影していることが認められるから,原告写真1には,Cの個性が表現されている。したがって,原告写真1は,Cの思想又は感情を創作的に表現したものということができ,著作物性を有する。
[控訴審同旨]